出版社内容情報
オーケストラはいつ生まれ、何故現在の姿になったのか。時代による変転を通じてヨーロッパ三千年の文化・思想史の一断面を示す好著。
内容説明
オーケストラはいつ生まれ、なぜ現在の姿をとるようになったのか?人々がその響きに託してきた夢とは?時代によって変転するオーケストラの姿を描き、その響きに深く刻み込まれたヨーロッパの文化・思想を鮮やかに浮き彫りにした好著。
目次
1 古代世界への憧憬
2 宮廷という宇宙
3 ボーダーとボーダーレス
4 覚醒の響き
5 交響楽団とベートーヴェン
6 「普遍性」とオーケストラ
7 専門家のユートピア
8 機械仕掛けの管弦楽?
9 共同体の夢と現実
10 崩れゆく世界の彼方に
著者等紹介
小宮正安[コミヤマサヤス]
1969年東京生まれ。横浜国立大学教育人間科学部准教授。東京大学大学院人文社会科学研究科博士課程満期単位取得。専門はヨーロッパ文化史。『狂言風オペラ「フィガロの結婚」』『同「魔笛」』の脚本執筆や、『レコード芸術』をはじめとする雑誌への寄稿など、多方面で活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sun
3
私の趣味関係の本。オーケストラの意味の変遷をギリシャローマ時代から19世紀までたどった解説本。ベートーベン辺りまではわかりやすいが、その後は、話があちこち飛んだり、作者は第9の影響を過大評価しすぎているので、他の知識ないと読みづらい。ベートーベンの頃から現代までの、ヨーロッパに限らない、オーケストラの変遷の本が読みたくなった。2013/07/07
メルセ・ひすい
2
15-89 発出『月刊都響』‘08~09 ウィーン…「黄金ホール」神秘的な響きが漏れてアーカイヴをすっぽり覆ってくる。マックス・オッペンハイマーが描いたオーケストラ OT.の絵が見える。音楽の聖地…そうそう正にキリスト教そのものOT.なのだっっ キリスト教のプロパガンダっ!ヨーロッパ 西欧そのものがカトリック発 日本人はなんとなく洗脳された頭で西欧を思う時…ハイカラサン時代からのクラシックが何か理解できていない。あこがれ?★いつ生まれ時代によって変転するOT.の姿を描きヨーロッパの文化・思想を浮き彫りに。2011/11/29
Go Extreme
1
舞台と客席の狭間、オーケストラの起源 モンテヴェルディ、楽器指定による個性尊重 宮廷楽団カペレ、君主の威光示す装置 全楽器の平等、ベートーヴェン第九の理想 市民が育てたゲヴァントハウス・オーケストラ 予約演奏会、聴き手と弾き手の分化 交響曲の誕生、オーケストラ音楽の主役へ 個の時代、作曲家・演奏家の自立 作品の響きこそ究極のアイデンティティ ナショナリズムとオーケストラ・カラー 国家高揚メディアとしてのオーケストラ アメリカ、欧州近代の夢実現の新天地 日本ならではの「響き」模索の必要性 ヨーロッパを映す鏡2025/04/29
takao
1
オーケストラとは舞台そのもの、あるいは舞台と客席の間の空間のこと。古代ギリシアではオルケストラは舞台と客席の間の空間で合唱隊がいた。オルケストラの語源は踊るの意。2017/10/28
夕立改二
0
オーケストラと西洋史について、やや強引で根拠に乏しいと感じられるような結びつけ方が多く為されており、読んでいて違和感を覚えるところが多い。オーケストラについてもヨーロッパの歴史についても中途半端な記述に終始している。旧い資料が多く掲載されていることは数少ない見どころと言えなくもないが、参照している資料の提供元は少ない。2013/12/27