出版社内容情報
一切が空しいことを知れば一切が蘇る。無為の自然に還る以外に道はない。田も耕さず,肥料もやらず,農薬も使わず,草もとらず,しかも驚異的に稔る稲が実証する緑の哲学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
79
自然農のバイブルという扱いで有名らしいので他館の本を取り寄せて読んだ。 自然農だけでなく自然食にかんする著者の考え方も衝撃的。個人的な印象としては自然食はとにかく高くて売っている場所も限られているというものだったので安くて大量に流通するお手軽な自然食という著者の主張は驚き。 無農薬で手をかけない自然農ならたしかにお金がかからないので安くなるというのはシンプルかつ納得の理論。余計なことはしない無の思想。2021/12/24
たまきら
21
20代の頃に舐めるように読んだ本を読み返しました。「アグリカルチャー」、という言葉に違和感があったころです。飽食の時代といわれ、ダイエット食品が売れているのに食べ物がいつまでも大量に生産され、捨てられている。アメリカの都合に左右される国産の農業。そしてアメリカの農業の視察…。けれども少しずつ、福岡さんとは違った視点ではあるけれど世界も変わってきた…と思いたい。一歩一歩進む仲間がいる。まあ、一人でも歩いていくだろうけれど。2018/03/31
雪うさぎ
19
同じようなことをしている人が以前住んでいた家の近所にいましたが…理想的だけれど、虫が苦手な私にはきついかも😵2022/02/07
袖崎いたる
5
SNSで見かけてチェック。学者ではなく覚者、かな。不耕起、無肥料、無農薬、無除草を説いているのだが、これは農家からすればソンナバカナコトシテサクモツガナルカだろう。害虫や発育不良に気を揉んで年がら年中農薬と肥料を投入しているのだから。米という字は八十八の手間暇かけて〜という歌もある。しかし著者は確信をもってみずからの自然農法を説くのだ。覚者と書いたのは哲学者でもあるからだ。西洋近代なるものの害悪に触れながら自然こそが神であるというわけ。私はカントの道徳哲学を思い出したね。叡智界としての自然と現象界としての2020/06/25
こたとも
4
福岡正信さんといえば泥団子。冒頭に出て来る「人知・人為は一切が無用」という言葉が衝撃的でした。自然農法で著名な方の本を読むと、とにかくまず今までの自分の価値観というものを疑わざるを得ないというか…農業高校から農学部まで進学して学んだことが根底から崩されます。生態系からみた農業と収益性からみた農業の違い。違いを比較してみると、慣行農法には実に色んな利益が絡んでくるんだな、と…。マイノリティーに入ることへの不安と、それを乗り越える信念が必要ですね…2018/01/17