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出版社内容情報
2004年12月にテレビ朝日「日曜洋画劇場」にてテレビ放送予定!!
映画では描かれていないドイツ人将校のその後が収録されています。
2003年度アカデミー監督賞・主演男優賞受賞。
ホロコーストを生き抜いた若き音楽家の苦闘の実録物語。廃墟になったワルシャワの街からの奇跡の生還。話題沸騰! ポランスキーによる映画(カンヌ映画祭最高賞受賞)の原作。
内容説明
第2次世界大戦、ドイツ軍によるポーランド侵攻。ナチスのユダヤ人迫害のもと、多くの命が失われ、廃墟になったワルシャワの街を独り彷徨する若き芸術家の苦闘の物語。ゲットー脱出、逃避行の日々、ドイツ軍の脅威が迫る…。ポーランドの名ピアニスト、シュピルマンが自らの体験を綴った希有のドキュメント。
目次
子供たちの時、狂人たちの時
戦争
最初のドイツ人たち
父、ドイツ人に頭を下げる
お前らはユダヤ人か?
フウォドナ通りのダンス
K夫人の素敵な振る舞い
脅迫下の蟻塚
ウムシュラークプラッツ
生きるチャンス
“狙撃者たちよ、立て”
マジョレク
隣室での騒ぎと諍い
サウァスの裏切り
燃えさかる建物の中で
ある都市の死
リキュールと命の交換
ノクターン嬰ハ短調
著者等紹介
佐藤泰一[サトウタイイチ]
1938年生まれ。62年、東京大学工学部卒業。富士製鉄(株)・新日本製鉄(株)技術研究者、富山県工業技術センター所長を経て、現在、技術コンサルタント、音楽評論家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
30
輪読ゼミで取り上げるため再読(前回は古い版『ザ・ピアニスト』で)。今回は一つ一つ街路を地図で確認しながら読んでみた。ワルシャワはドイツに破壊されてしまって、現在はまるっきり近代的な都会になっているが、通りの名前は残っているので、そういうことができるのである。2019年夏にワルシャワを歩き回って少し土地勘ができたので、初読のときよりも臨場感が増したように思う。今度ワルシャワに行くことができたら、シュピルマン氏と恩人が出会った場所を訪ねてみよう。2020/12/03
Willie the Wildcat
28
1/20人。20/36万人。0.00028%。運は否定しないが、著者の強靭な意思が、前提条件。普通の人であるが故に、心情の揺れや不安との葛藤が、どこか身近に感じてしまう。ホーゼンフェルト大尉とは、文字通り音楽を通した心の繋がりという気がする。根底に、人間の労り、慈愛。巻末の大尉の日記も必見。極限下での人間の言動に垣間見る、人間の本質。善悪という単純な物差しで、物事の表裏を必ずしも測ることができるものではないと痛感。2013/09/30
白玉あずき
20
ワルシャワ(ゲットー)蜂起の関連書として読了。住民たちがなぜ戦うことや逃げることを選択できず、殺されるままになっていたのか、いつも不思議に思っていたけれど、なんとなくその「からくり」が見えてくる。集団の暴力に対して、「普通の人」が対抗することは不可能に近い。母集団の数の多さは無意味だ。大多数の人は「もしかして死ななくてもすむかもしれない」という少しの希望があれば、それにすがって流されていくものなのか。立場、利害を超えて、一般人を組織化することの難しさよ、そんなことを考えながら読んでいた。2016/05/19
文公
19
映画が好きで何度も見ているのだが、唯一不満なのが、ポーランド人がポーランド語ではなく英語で話していることだ。ドイツ人はドイツ語を話しているというのに。2024/06/08
kochi
19
ドイツのポーランド侵攻の後、ワルシャワのユダヤ人はゲットー内に強制移住させられ、弾圧される。ピアニストのシュピルマンは家族と共にゲットー内で暮らすが、やがて、「ユダヤ人問題の最終的解決」への移送が始まり… 戦争の開始からソ連の進軍により解放されるまでを描いたポーランドのユダヤ人の記録。追い詰められたユダヤ人によるワルシャワ・ゲットー蜂起の時、生きて捕らえられることを潔しとしなかった女たちは、子供たちを屋上から放り投げ、自らも身を投じたという。読んでいてこれだけ怒りが繰り返し湧いてくる小説も珍しい。2021/11/07