出版社内容情報
アートは、私たちに何を語りかけるのか?
東西の古典文学から、現代の演劇・歌謡までを横断する、
詩人・フランス文学者・戯曲翻訳家による思索と回想。
名だたる演出家の舞台で翻訳を手掛けた著者が紡ぐ、
言葉とアートの作用へと迫る24のエッセイ。
「詩や小説のなかから、あるいは映画や音楽や絵画から、孤独な魂が語りかける声を聞いていた、そして今も聞いている。そこには、孤独な魂だからこそ思いつく「諧謔」があった。」(本書より)
装幀:高木達樹 装画:竹渕愛留萌
【目次】
前書き
1 錬金術
2 照応と出発
i 不意打ち
ii 記録のない旅
iii 缶の形
3 コロナ禍のもとでの戯曲翻訳
iv ヘラオオバコ
v 骸骨との対話
4 生成AIに質問してみた
5 歌あれこれ
6 孤独
vi 酵母
7 記憶と記憶の向こうの過去
vii ペン
8 語りかけ
viii ぶぶ漬け、いただきます!
9 本の引っ越し
ix 作品との出会い
10 古典に目覚めた頃
x 本は静かに待っている
11 イノベーション
xi 巳年にちなんで
xii 冬の散歩
12 Fluctuat nec mergitur
後書き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
くれないゆき
3
言葉を知るとき、本や文学から知った言葉が日常に落とされていく。美しい詩の一片が、なんてことない子供でも使うありふれた単語だったりする。本の中と現実が混ざり合ったり、綺麗な思い出になったり、思い出と文学がリンクしたり。言葉や詩、文学をそばに置いて生きている人、という香りがした。すごく好き。2025/09/06
kaho4_27
2
フランス、フランス文学、翻訳、記憶いろいろなテーマで書かれているエッセイでとても楽しめて読めました。2025/07/09
桜花
0
「私は泥をこね、それを黄金にした」という言葉が心に残った。私が私自身を黄金にできるかもしれない。2025/11/28
KJ
0
現在と過去、現実と作品をクロスさせる心の在り方、そしてその交差点も(こそ?)現実であるという捉え方は崇高さがある。各文章もそのように、複数の場面や作品などが折り畳まれていて美しい/自分は詩や文学を味わう感性が乏しいタイプと思っているけれど、渚や酵母の比喩などに触れて、自分にも一応自分なりの堆積物がこれまで溜まってきているのかなとも思えた。「酵母」をいい感じに発酵させていくべく、堆積物(+靄?)に対して今後ことばで向き合っていきたい/ロートレアモンと源氏物語が同じ本にある振れ幅に笑ってしまった2025/11/03




