出版社内容情報
大正時代に,貧困と虐待に満ちた少女期を過ごし,後に朝鮮人革命家朴烈と共に大逆罪に問われ,獄中で自死した23歳の女性の自らの生涯を率直に綴った,自立への叫びの記録。
内容説明
このうえない悲惨な境涯に生まれながら、懸命に生きる喜びをおい求めたひとりの女が、ついに朝鮮青年、朴烈と出会う。この運命的な出会いに、彼女は「共に生きて共に死ぬ」ことを願う。1926年、朴烈事件で大逆罪に問われ、獄中で自死した23歳の女性のピュアな魂の記録。
目次
手記の初めに
父
母
小林の生れ故郷
母の実家
新しい家
芙江
岩下家
朝鮮での私の生活
村に還る〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kyoko
2
少し前に読んだ「両手にトカレフ」のなかで主人公が読んでいた「カネコフミコ」の伝記。気になり本人の手記を読んだ。不条理のなかで懸命に生きたふみ子の姿に胸が痛くなった。映画化されたものも気になる。2022/08/30
ymazda1
0
たとえ日本統治下にあった半島に渡ろうが、どこまで行っても底辺の少女時代・・・記録的なものがないだけで、当時もこういった境遇の人はたくさんいたんだろうなと思いながら読んだ・・・にしても、こんなマイナーな本が昨12月に岩波文庫から刊行されてたとは。。。
Hisashi Tokunaga
0
本作品の初版は1920年代春秋社の様だ。春秋社って創立約100年になる出版社ってことだ。この本読んで、瀬戸内(晴美)寂聴が金子文子のこと小説(「余白の春」)にしてたんだと改めて知った。伊藤野枝、大杉栄の「美は乱調にあり」はとてもスリリングな小説だったなぁ。明治大正期の日本の貧しさはそれでも東洋の中ではまだまだ、との想念を朴烈と文子の出会いから掻き立てられる。個体に押し寄せる「貧しさ」に打ち克つ人間って凄いと考えるのは僭越か?「貧しさ」の中でほとばしる家族や人々の会話に「そうなんだ」と悄然としてしまった。2019/08/23
emii7864
0
映画「金子文子と朴烈」を見る前に読んでおこうと思い、図書館で借りて読みました。とても良かった。文庫本買おうと思います。家庭の中でも、社会でも、弱いものが虐げられる。今の時代も何も変わってないと、つくづく思いました。貧しい上にさらに搾取される中、あまりに聡明で純粋なふみ子が愛おしくてしょうがない。2019/03/15