出版社内容情報
ナチスによる強制収容所の体験として全世界に衝撃を与えた『夜と霧』の著者が,その体験と思索を踏まえてすべての悩める人に「人生を肯定する」ことを訴えた感動の講演集。
内容説明
『夜と霧』の著者として、また実存分析を創始した精神医学者として知られるフランクル。第二次大戦中、ナチス強制収容所の地獄に等しい体験をした彼は、その後、人間の実存を見つめ、精神の尊厳を重視した独自の思想を展開した。本講演集は、平易な言葉でその体験と思索を語った万人向けの書であり、苦悩を抱えている人のみならず、ニヒリズムに陥っている現代人すべてにとっての救いの書である。
目次
1 生きる意味と価値
2 病いを超えて
3 人生にイエスと言う
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
281
初フランクル。講演内容を本にまとめたもので、フランクルの本のなかでは読みやすいらしいが、それでもやっぱり抽象的でむつかしい。解説もけっこうなページ数だが、やっぱり難しめ。先にフランクル哲学の骨子をネットで知っておくと、書いてあることが理解しやすい。人生を肯定的に捉えるには、人生に意味を問うのではなく、意味に関して人生からの問いに自らが答えなければならないという逆転的な発想はおもしろい。もう少し関連図書も読んでみたい気がする。2018/01/05
ケイ
152
強制収容所を生きのびたユダヤ人が1946年に語る生きる意味は、今とは根本的なところに違いがある。とはいえ、なぜ生きるのか、生きる価値、自殺を選ばず生きる意義については、同じなのだと頷くしかない。そして、究極的には「ハレとケ」に集約出来るのではないかと思う。どんなにつらい時でもふと笑えることがあれば、ということも含んで。楽しいことだけ選んで暮らせば、真の楽しみ、幸福は得られないのは真理。生きがいとは、生きる意味。収容所の場合は、生き延びようという意思になる。想像の及ばない過酷さを生き延びた人々に喝采を。2021/03/05
mukimi
113
性根尽き果てた極限状況では思考回路はぶちぶち切れて哲学なんか届かないことはよく知ってる。それでも、明日が来るのが怖い人に伝えられることはないか。「我々は人生から何を期待できるかという自己中心的な人生観では限界状況に耐えられない。人生は何を我々から期待しているかという観点に変更せよ。人生が出す問いに答える責任が我々にはある。」苦しい時に責任なんて言われても糞食らえだろう。その責任が苦しいのだ。でも、あなたに出来ることはこの人生にまだあると伝えたい。極限状態でもどう生きるかの自由が私達にはあることを伝えたい。2020/07/26
抹茶モナカ
109
人生に何かを期待するのではなく、人は逆に人生に問われているのだ、という考え方で有名なフランクルの講演録。人生が人に意味を問い、日々、人は人生から課された課題をこなして生きていく、という考え。それは、突き詰めれば宗教的な境地だけれど、その考えを思い出せば、乗り切れる苦悩もある、と、思った。人生の意味を考えていて、読んでみた。人間らしい苦悩を味わえている、と言えば幸せだけれど、僕の心象風景はこのところ暗い。本を読むのも億劫で、死んでしまいたくなっていて。でも、それはルール違反らしいので、じっと堪える。2016/10/11
十川×三(とがわばつぞう)
107
名著。『夜と霧』とセットで読むべき本。再読書。▼生きる意味は問うてはならない。人生から問われている。▼暮らし、職業はどうでもよい事。自分の活動範囲に置いて最善を尽くしているかが重要。一人ひとりが代理不可能な存在。▼幸せは結果。思いがけず手に入るもの。▼苦難と死が人生を意味あるものにする。▼2025年1月再読②2023/06/07