出版社内容情報
最新技術が世界を便利なだけのものとしていくハイデガーの言う「哲学の終わり」のなかで、新しい始まりを見いだすにはどうしたら良いのだろう? ユク・ホイはアートに着目し、西洋と中国の芸術から芸術形式を取りだし、新たな技術の思考を見いだそうとする。
内容説明
哲学の終わりと芸術の論理による新しい始まり。西洋芸術の論理(悲劇者の論理)と中国芸術の論理(道家の論理)を形式化し、ふたつの再帰的な芸術の論理から、AIに代表される現在のテクノロジーのあらたな方向性や枠組みを考察する。
目次
序論 感性の教育について(悲劇的宇宙の歴史心理学;悲劇の芸術における再帰的論理 ほか)
第1章 世界と大地(哲学の終わりのあとの芸術;芸術からのもうひとつの始まり ほか)
第2章 山と水(可視的なものと不可視なもの―現象学についての覚書;山水への試み その一:論理 ほか)
第3章 芸術と自動化(機械知能の現況;有機体論の限界 ほか)
著者等紹介
ユクホイ[ユクホイ]
香港出身の哲学者。ロイファナ大学リューネブルク校でハビリタツィオン(教授資格)を取得。エラスムス大学ロッテルダム哲学教授。その著作は十数か国語に翻訳されている。2020年よりバーグルエン哲学・文化賞の審査委員をつとめる
伊勢康平[イセコウヘイ]
1995年京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在籍。専門は中国近現代の思想など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mim42
8
メモ: 1)対立的連続性→道家の論理=玄=山水画。西洋的悲劇者の論理→対立的非連続性 2)宇宙技芸→地域固有の技術+地域固有の宇宙感。西田の場所論 3)現代世界は均質的テクノロジー→多様化すべき→芸術観点からの思考 4)無の外部 5)再帰性は認識論であり、知能と環境の関係モデル. 山水画の再帰的な効果を強化する庭園=静止画に時間的な次元が加わった映画 6)絵画とは、現前でもなく不合理でも無い非合理的で現れないものを晒す。計算可能でも不可能でも無い非計算的なもの 7)哲学界で不人気な直感は知能と相補的関係 2024/09/30