出版社内容情報
「生きることに意味はあるのか?」 繰り返し問われてきたこの問いに、分析哲学から厳密にアプローチする21世紀英語圏の新たな哲学的ムーブメントはほとんど知られていない。本書はその入門書であり、かつ、それを踏まえた日本の人生の意味哲学の最前線だ!
内容説明
生きることに意味はあるのか考えてみよう。人生の意味に関する問いを分析哲学的に研究する21世紀英語圏の新しい哲学的潮流を紹介しつつ、独自の観点から人生の意味に挑みかかっていく挑戦的な入門書。
目次
第1章 人生の意味はどう問えばよいのか―人生の意味を考えることについて考える(村山達也)
第2章 人生の意味の哲学はどのような議論をしているのか(森岡正博)
第3章 広大な宇宙のなかでちっぽけな人生に何の意味があるのか(鈴木生郎)
第4章 「人生の意味」についての客観説と主観説(蔵田伸雄)
第5章 人生の意味と幸福(杉本俊介)
第6章 人生が無意味なら生まれてこないほうが良いだろうか―反出生主義と人生の意味(吉沢文武)
第7章 人生の意味と自己実現(長門裕介)
第8章 生の意味について語るときに私たちが語ること(久木田水生)
第9章 人生の意味論と前期ウィトゲンシュタイン(古田徹也)
第10章 人生の意味の哲学へ入門することは可能か?(山口尚)
第11章 人生にイエスと言うのは誰なのか?―人生の意味への肯定型アプローチ(森岡正博)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zunzun
4
人生の意味の哲学入門、読了。 勉強になる本だった。先日バズっていた東大アイドルの炎上、環境とか努力とかそういうのをおもいながら読むと更に楽しめた。十代のときにあったらなあ、とおもわないでもない。人生を考えたい人にはおすすめできる。文献紹介も豊富にある。 「人生の意味の哲学」はここ二十年ほど欧米で流行しているらしいが、当然、本邦では紹介されていない。その重要文献も訳されておらず、専門の哲学者達が英語で読んで終わっていたらしい。紹介される文献も似通っており、今からはいっても勉強はしやすいものと思われた。2023/12/27
いかすみ
2
人生の意味を分析哲学的に追求する本。たとえば「意味」について厳格に定義して、人生の意味について迫っていく。私は分析哲学の知識が皆無なので、本書の前半は読むのが退屈だったり、理解が苦しかったが、後半は楽しめた。森岡正博さんの章では、人生の意味には3つの層があると指摘されている。主観説、客観説、独在説の3つである。主観的に人生の意味を感じているか、客観的に見てその人の人生の意味があるか、世界で独りだけの自分にとっての人生の意味をそれぞれ表現している。本書を手掛かりに、自分自身の意味を探る必要性を感じた。2024/03/20
RF
1
「人生の意味は何か」という問いに対する分析的アプローチによる入門書。そうであると同時に、現代の分析哲学が過度にアカデミズムと客観性を重視するがあまり、ただ途方もなく「人生の意味」の言い換え表現を探し続けているだけの活動に成り下がっているというような指摘もなされていた。しかし、そうした活動も個人的な問題としての人生の意味を考える素材になるのではないかという考えのもと、読者にとっての「人生の意味」に立ち向かわせるために書かれたような本だと感じた。 2023/12/30