出版社内容情報
心理学者ユングやポストモダンの思想家らのグノーシス主義理解は己れの空想や独善を仮託した蜃気楼にすぎない。虚妄の解釈を排し、テキストを細心に読み解くとき、〈父なる神〉の新の姿を求めて進化したグノーシス主義の発展と崩壊の軌跡が明らかになる。
内容説明
心理学者ユングやポストモダンの思想家など多くの知識人を魅了してきたグノーシス主義。しかし彼らの理解は己れの空想や独善を仮託した蜃気楼にすぎなかった。虚妄の解釈を排し、歴史の流れを踏まえて、テキストを細心に読み解くとき、“父なる神”の真の姿を求めて進化したグノーシス主義の発展と崩壊の軌跡が明らかになる。キリスト教最大の異端、その思想の深度。
目次
第1章 グノーシス主義前史(古代都市の信仰―「父」というフィクション;プラトン主義的形而上学;ストア主義的自然学;混淆主義的変身譚)
第2章 二つのグノーシス神話(『ポイマンドレース』;『ヨハネのアポクリュフォン』)
第3章 鏡の認識(グノーシス主義と精神分析;プレーローマの成立と破綻;奪われた自己像;仮現論―真実の神の変容;新婦の部屋)
第4章 息を吹き込まれた言葉―グノーシス主義とキリスト教(グノーシス主義とキリスト教;神の三つのペルソナ―キリスト教教義の要約;言葉の分裂;真の神の名)
著者等紹介
大田俊寛[オオタトシヒロ]
1974年生。専攻は宗教学・思想史。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、埼玉大学非常勤講師。キリスト教を中心とする宗教思想史を研究するほか、オウム真理教問題を含む現代宗教論も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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