内容説明
僧形にとって詩人とは何か。詩人の感性と僧侶の理念―その狭間に生きた良寛の両義性を鋭く抉りだす。
目次
1 良寛(思想詩;僧侶;隠者)
2 「良寛」以後(仏教者良寛をめぐって―野づらゆく行乞の思想(対談者・水上勉)
漱石のなかの良寛
良寛書字―無意識のアンフォルメル
エロスに融ける良寛)
著者等紹介
吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
1924年東京に生れる。1947年東京工業大学卒業
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感想・レビュー
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mura_海竜
76
前に読んだ本「MY TIME」に出てきた良寛。ただ一番最初の本として歴史も知らずの私には、難しすぎたようだ。良寛の世界に入ってみる、「愛語」に対してこだわっていた。「愛語」は、憎しみや他者の勘にさわる言葉を使わない。子どもにさせてはいけないこと、してはいけないこと。途中の大部分を占める詩と解説は読み込みが足りなく、内容が掴めなかった。簡単な本があれば読んでみたい。[覚え]愛語 理屈っぽいもの、人の隠すことを明かす、推測に過ぎないのに断定的に言う、推しが強い、品に似合わね話をする、人の器量のあるなしを言う2018/10/04
さっちも
18
良寛に四つに組んで格闘する著者に、感動を覚えずにいられない。好きな箇所の抜粋→良寛の詩といえども、大部分はわたしたちの判断をはるかに超え、他者の理解を拒絶したような詩です。謎の炭火を大桶の灰のしたにかき消してしまいます。わたしたちは、たぶん良寛に試みられているのです。あるいは良寛に象徴されたふかい無為の情操に試みられているのだろうと思います。人によってはここでいちばん理解を拒絶したとみられる詩が、いちばんわかりやすいこともありうるかもしれません。「我は是れ物外無事の僧/君も亦昇平の一閒人/終日相見て他事な
ダージリン
2
新潟に住んで数年になるが、やはり良寛は知っておきたい気持ちがあって手にしてみた。良寛の詩を通し、その人柄の一端を垣間見られたような気がした。暗い陰影に色取られた詩にはある種の凄味が感じられ、これまで抱いていたイメージとは全く違った良寛像が結ばれた。ここで語られる漱石論も興味深かった。2010/10/07