内容説明
人の理想的な生き方を求めて。我々は日常生活の中で悩み、迷いながら生きている。その根元にあるのは、さまざまな「欲」である。欲を離れ、より「善く」生きるにはどう道を歩めばよいのか。実践を尊重した仏教の数ある経典の中から、悩める現代人の指針となる珠玉の言葉を贈る、待望のシリーズ第二巻。
目次
第1章 生きる道―仏典の名言から(世の中の諸思想に対してどういう立場をとるべきか?;人間の反省;存在の根底)
第2章 生きていくための原理(こころ;自己;超克;生きる)
第3章 智慧のことば(やすらぎを求める;身を修める;善悪の彼岸;慈悲を行ずる)
第4章 世に生きる(世に生きる;楽しみ;人生の幸福;迷惑をかけない;理想的な生き方;毀誉褒貶にとらわれない;死ぬよりも前に;原始仏教における自然環境の問題)
著者等紹介
中村元[ナカムラハジメ]
1912年、島根県松江市に生まれる。1936年、東京大学文学部印度哲学科卒。1943年、文学博士。1954年、東京大学教授。1970年、財団法人東方研究会設立。1973年、東方学院設立、学院長に就任。東京大学名誉教授。1977年、文化勲章受章。1984年、勲一等瑞宝章受章。1999年、逝去
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
2
多くの日本人にとって、原始仏教とは、いわゆる小乗仏教のことであり、自らがさとりを得るために修行生活に勤しむもの、というイメージがあったのではないだろうか。確かに、良く生きるために、生老病死に伴う「苦」を滅却すること、それに至る道として八正道の実践が説かれたこと、等々、個人への執着を必ずしも、否定したものではなかったということは言えるのではないだろうか。しかし、本書を読んであらためて感じたことは、それがいかに一面的な見方であったかということである。→(2) 2017/07/07
壱萬参仟縁
1
「感謝のこころは、自己に対する反省と一体になっているのである。反省して、自分が至らぬものであるということに気づくと、他人から受けた恩のありがたさがしみじみと感ぜられ、感謝の気持ちでいっぱいになる」(123ページ)。なるほど、反省なきところに感謝も芽生えないのだ。謙虚にこれでよかったのか、と牛山恭範先生が提唱する「核要素時間」をもつことが毎日必要に思った。人に迷惑をかけないこと、も書いてあり、当たり前のことだがなかなか、他人を思いやるゆとりがなくなっている現代日本社会にあって、短時間でも見つめなおしたい。2012/09/27