内容説明
明治維新によって始まった近代国家日本。それは同時に宗教という概念の誕生も意味していた。大政奉還による天皇中心の新たな国造り、西洋思想受容による新たな思潮。激動期にある神道、仏教、キリスト教、新宗教の動きや、西洋思想受容の過程をも論じる。
目次
第1章 総論―近世から近代へ
第2章 天皇、神話、宗教―明治初期の宗教政策
第3章 国体論の形成とその行方
第4章 宗教が宗教になるとき―啓蒙と宗教の近代
第5章 近代神道の形成
第6章 新宗教の誕生と教派神道
第7章 胎動する近代仏教
第8章 キリスト教をめぐるポリティクス
著者等紹介
島薗進[シマゾノススム]
1948年生まれ、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学、東京大学名誉教授、上智大学教授
末木文美士[スエキフミヒコ]
1949年生まれ、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学・博士(文学)、東京大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授
大谷栄一[オオタニエイイチ]
1968年生まれ、東洋大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程修了・博士(社会学)、佛教大学教授
西村明[ニシムラアキラ]
1973年生まれ、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程単位取得退学・博士(文学)、東京大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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左手爆弾
2
江戸末期から明治前期にかけて起きた宗教的な変化がそれぞれの視点から描かれる。複数の論文において登場するのは、神道が宗教か否か、キリスト教への対抗、憲法上の信教の自由との関係、民間信仰が国家神道に取り込まれる過程、真宗と政府との立ち位置、本居宣長や平田篤胤の影響力の強さなど。色々な主題を扱っているが、専門家向けなのか、もう少し幅広い読者を想定しているのか、よくわからなかった。研究史や文献情報が多いのはよかった。2021/08/21
はるたろうQQ
1
明治維新前後の浄土宗の活動、特に北海道への開教活動について勉強したいので、その一環として手に取る。直接的に書かれたものは無かったが、「新宗教の誕生と教派神道」は寺社と講の関係の変遷について、「胎動する近代仏教」は政府の宗教政策と教団の近代化について参考になった。明治維新期の仏教はやはり長州との繋がりから浄土真宗がメインになってしまう。なお、第1刷を読んだが、残念ながら193頁と242頁に年号の誤りがある。それぞれ1938(天保9)年、1973年としているが、時期的に明らかに1838年、1873年であろう。2024/03/05