出版社内容情報
大震災以降現れた幽霊の目撃談。彼の地に残る荒ぶる魂を誰が鎮めるか。日本人の源にある「力」への信仰を、仏教の諸層から探求する。
内容説明
憑霊・シャーマニズム研究の権威が見通すこれからの宗教観とは。仏教的“あいだ”=“かかわりあい”のダイナミズムに見える日本人の重層的な精神構造を鮮やかに読み解く。
目次
第1章 憎侶とは何か(求められる僧侶像;僧と巫のあいだ ほか)
第2章 死後の世界をどう捉えるか(「死後世界」のイメージ;死者の居場所 ほか)
第3章 生活仏教を文化から考える(日本仏教の中の原始性;宗教的ダイナミズムに向けて ほか)
第4章 東日本大震災は何を変容させたのか(東日本大震災と仏教;大震災後の日本宗教論 ほか)
第5章 宗教における「あいだ」のダイナミズム(脱民俗化と再民俗化のあいだ;宗教的「あいだ=かかわりあい」考 ほか)
著者等紹介
佐々木宏幹[ササキコウカン]
1930年、宮城県生まれ。東京都立大学(現、首都大学東京)大学院修了。駒澤大学名誉教授。文学博士。日本宗教学会名誉会員。日本文化人類学会名誉会員。曹洞宗総合研究センター客員研究員。宗教人類学。宗教文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
31
教学ではなく現場の仏教を語った一冊。象牙の塔に篭っている僧とは違い、 実際に現場で働く僧が教学と民俗の分裂に悩むという二律背反が指摘されているのは興味深い。今まであまりそこに触れられた本はなかったのではなかろうか。葬式仏教という言葉が今まで否定的に取られてきたのを見直す提言や、葬式や法事の変容とそれへの取り組みなど考えさせられることが多々ある。後半は3・11と癒しの問題に大半が当てられていたが、読むに従って儀礼というものにまだ価値があるのではないかと希望を持たされる。この後どうなるかわからないけど。2013/01/18