出版社内容情報
果てしない覚りへの探究も、まずは身の回りの生活から始まる。深層心理を徹底的に見つめる「唯識」思想を平易に解説する仏教入門。
【著者紹介】
1947年、奈良に生まれる。立命館大学文学部卒業。興福寺貫首。著書に『貞慶「愚迷発心集」を読む』『観音経のこころ』(以上、春秋社)、『旅の途中』(日本経済新聞社)ほか多数。
内容説明
「こころ」とは何か?「私」とは何か?奈良・興福寺の貫首が、平易な言葉で私たちのこころの仕組みと働きを一つ一つ解きほぐしていく。唯識仏教、最適の入門書。
目次
第1章 唯識ということ
第2章 心の構造
第3章 心のはたらき
第4章 経験の蓄積―心の潜在的な領域1
第5章 ものごとの生起
第6章 利己性にうごめく深い自己―心の潜在的な領域2
第7章 さまざまに判断する心
第8章 五感の作用
第9章 私はだれか
第10章 仏との距離
終章 唯識と現代
著者等紹介
多川俊映[タガワシュンエイ]
1947年奈良に生まれる。1969年立命館大学文学部卒業。現在、興福寺貫首(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
16
森羅万象は私の意識の中に。何もない。誰もいない。ただ、識がある。そしてそれにより世界は創り上げられる。それが唯識。目の前に広がる膨大な世界をどう解体するのか。ただ独り(開闢された)その世界と対峙する〈ぼく〉とは一体何なのか。仏教的な思想から根源にアプローチする。〈ぼく〉が認識するあなたの中にも、そこから広がる(開闢された)あなただけの世界があるのだろうか。この特別な感覚は実は特別ではないのだろうか。特別な感覚の中で「この特別さ」が〈ぼく〉の前に広がっているのは何故なのだろうか。考える程沈んでいく。2022/03/14
ショウジ
14
阿頼耶識の存在をTwitterで知り、もっと詳しく知りたいと思い本書に手を出してみました。結構やさしく書かれているのですが、専門用語が多く(漢字が多く?)、難しく感じました。再読が必要かな?阿頼耶識って仏教版の引き寄せの法則と考えて良いのでしょうか。2018/04/21
bapaksejahtera
12
一通りの読書経験はあるが、唯識三年倶舎八年いう戲言を覚えた位で理解には遠いと感じていた処、本書の平易な説明で漸く目鼻がついた気がする。唯識論は宇宙論や量子論に飛躍する事も屡々だが、本書では敢えてそれに触れない。人間の認識が五感から意識を構成し、それが無始から繋がり複雑にして把握不能な深層心理である阿頼耶識に至る。但し人間は執着心から末那識を作り上げ、これを自己と思い込む。人間の思考感情の古代から続く巧緻な分析である。脳神経科学との接近が印象的だった。三乗一乗の別を如何に考えるかも有用で更に勉強したくなる。2024/09/19
ドスカ(旧トマト)
2
前世ら引き継いだ阿頼耶識という感覚はわからないが、人間の認識について これほどまでに考察を深めるのはとてもすごい2015/05/16
funuu
2
私達は、一人一人、たかいに異なる独特の認識世界に暮らしている。2014/07/05