出版社内容情報
様々な言語で伝承された文献を比較し、近年の学術的成果から、ブッダに思いをはせた人々の息吹までを伝える優れた入門書。
内容説明
生身の人間であり、伝説ともなったブッダ。その生涯はどのように伝わり、解釈されてきたのか。多様な文献を時代背景とともに検討し、ブッダに思いをはせた人々の息吹をも伝える、絶好の入門書。
目次
第1章 釈迦牟尼の時代
第2章 釈迦牟尼の誕生
第3章 菩薩の悲しみ
第4章 出家
第5章 樹下成道
第6章 ネーランジャラー河の畔にて
第7章 伝道のはじまり
第8章 二人して一つの道を行くなかれ
第9章 教団の成立
第10章 その後の伝説
第11章 完全なる涅槃
第12章 涅槃後のブッダ
著者等紹介
吹田隆道[フキタタカミチ]
1955年京都府生まれ。大正大学文学研究科修士課程(梵文学専攻)修了。佛教大学大学院文学研究科博士課程(仏教学専攻)満期退学。専門分野は梵文阿含経典の批判的研究。現在、浄土宗招善寺住職。佛教大学、同大学院、京都文教大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鹿野苑
11
初学、ちょっと仏教に興味がある人から改めて「ブッダ」とはということを振り返りたい人まで幅広くおすすめ。 別で『大般涅槃経』も読んでいるのだけど、お釈迦様の仰っていることって、ぶっちゃけ矛盾することがある。 ”釈迦牟尼はそのような”妄信”を排除するために教えの固定化を避け、それぞれが確証を得られるような「対機説法」という手法を取ったのです。” というところで烈しく頷いた。そうだ。お釈迦様がすごいのはこういうところなんだ。 2024/04/28
Go Extreme
2
ブッダの研究: ヨーロッパから来た仏教研究 サンスクリット語とバーリ語 伝言ゲーム 釈迦牟尼の時代: 実在の人物か アショーカ王 紀元前五世紀の人 沙門 釈迦牟尼の誕生: 伝説の特殊性 仏殿文学と八相 三十二相 菩薩の悲しみ 出家: 王舎城 樹下成道: 菩提樹の下で 降魔伝説=成道説 ネーランジャラー河の畔: 慈悲の心 伝道のはじまり: 中道 五取蘊苦 求不得苦 二人して一つの道を行くなかれ: 群れない修行者 犀のように 教団の成立: 舎利弗と日蓮 その後の伝説 完全なる涅槃: 人間ブッダ 涅槃後のブッダ2024/08/30
がんぞ
1
シルダッタは太子だっただけに、実在が明白ではないイエス・キリストよりも出自や実子ラーフラなど縁戚が明確。近代仏教文献学や考古学的発見、阿育王遺跡に「仏滅後百余念」。舎利弗はジャイナ教文献で「論客」と記され、門下双璧の目連も考古学史料に出ている/仏教以前の苦行は「欲望を離れるため」で非論理的なものではない。成道直後に説いたとされる〈八正道〉にしても、「修行者にとって正しい」という控えめな意味とすれば穏健/成道後の35年は、時間経過が曖昧/大乗経では常識離れした描写が頻出するが小乗経が本義と断定はできない2025/03/21
kanon
0
仏教はファジー。仏教書というと堅苦しいイメージがあるが、この本はとてもわかりやすく、偏らず、そして新しく、面白い。お釈迦さんは物語りの中に生きているのではなく、現実を生きていた。だからこそ2500年経った今も仏教は生きているんだ。2013/03/30
ちょんまげ
0
仏陀のエピソード集。 本書は、残念ながら教科書的に仏教を学ぶことには不向きです。エピソード集なので、仏陀が食中毒で死にそうなのに遊行を続けてた、みたいな逸話が書いてるだけ。 よって、個別具体のエピソードから仏陀という人物の輪郭を捉え、教訓なるものを見出す、それを読者自身に求められます。 つまり、仏教は帰納的な教えなのです。 本は通常、著者の伝えたいことありきの演繹的な形式をとっているので、読後の違和感があるでしょう。 仏教には関心がなくても、主体的な読書をしたい方は、読んでみてはいかがでしょうか。2018/09/23