内容説明
古都・鎌倉の山の上。静かな住宅街に1軒のパン屋がある。夫婦二人三脚で営むパン屋には、ショーケースも看板もない。あるのは、小さな家庭用オーブンで焼き上げる、シンプルなパン。だが全国からのオーダーは後を絶たず、順番待ちは3年にもなる。ある者は愛する家族のため、ある者は病と闘いながら、パンがやって来る日を、じっと心待ちにしている。人々に幸せと生きる勇気を届けるそのパンは、いつしか“天使のパン”と呼ばれるようになった―。
目次
序章 天使のパン
第1章 自転車と泉己くんと、私
第2章 そして、あの日
第3章 そうだ!パン屋になろう
第4章 “幸せ”が届きました
終章 私たちのこれから
光は必ず射してくる―あとがきにかえて
著者等紹介
宇佐美総子[ウサミフサコ]
2005年3月に競輪選手だった多以良泉己さんと結婚。事故後、懸命に夫を看病し、全身麻痺状態から杖を使って歩けるまで支え続けた。現在、自宅でパンの注文受付、客とのやりとり、発送など夫のサポート業務をする傍ら、カウンセリング活動、環境や平和イベントなどで司会業をこなす。モデル、女優、舞踏家としても幅広く活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sweet november
6
今注文しても14年以上待ちのパン屋さん。新聞記事を見て、この本を読んでみました。元競輪選手のご主人が、競技中の事故により選手生命を絶たれてしまい、リハビリを兼ねてパン作りを始めたのがきっかけです。絶望の中から、奥様の必死のサポートによりパンやお菓子を作る経緯がなんとも心を打ちます。2015/11/23
ゆうゆう
2
元競輪選手が、大怪我を負い引退。リハビリでパンづくりに出合い、パンを作る。心を込めて、優しさを込めて。こうして、代え難い天使のパンが出来あがる。ある意味、肉体をむきだしの自転車で落車事故は、すざまじい衝撃を与えるものなんだと怖く思った。怖いと思ったら失格だろうけれど、鍛えた肉体を信じても、事故にあってしまうときは…なかなか仕方ないとは割り切れないだろうな。だからこそ、天使のパンが作れるように神様がしてくれたのかもしれない。2015/03/17
オカピー
2
事故で障害を背負ったが、奥様の温かい支えがあって、「天使のパン」を作っていく姿は、微笑ましい。本当に大変な時に支えてくれる人がそばにいてくれて、二人とも決してあきらめないで人生を生きていく覚悟を決めているところがすばらしい。パンを注文したいが、3年は待てないかな。2012/09/05
くっきー
2
3年待ちのパンってどれだけ美味しいんだろう。2年前に発行された本で、この本が出来る前にテレビで取り上げられたりして話題になったみたいだけど、この本を読んだだけではあまり伝わってこないのは、私の共感力が乏しいのかな。私が想像するよりもずっとずっと大変な日々だったんだろうとは思うけど、天使のパンと呼ばれるようになる過程がいまいちよくわからなく…。テレビを見たあとに読んでたら良かったのかな〜。2012/03/01
Kazu Yanagi
1
奥様の献身的な介護が素晴らしく、頭も良い方だと感じました。もし、身近な方で介護に悩む方がいれば、一度勧めてみたいと思います。2015/01/03