内容説明
「サイモン?…来てもらえるか?」霧の夜に鳴った電話の声は確かに兄オリバーのものだった。しかしオフィスに行った弟が見たのは兄の死体。兄が恐喝していたと思われる証拠が出て、サイモンの知人が逮捕される。兄の名誉のため、知人のため、調査に乗り出すサイモン。アガサ・クリスティーが「最後まで読んで楽しめた、極めて面白い犯罪小説」と称賛したディヴァインの処女作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
縁側昼寝犬
6
久々に正統派のミステリーを読んだ。兄が殺され、死体を発見した弟。警察の捜査で明らかになってきたのは、兄らしくない行動。人格者ではなく、欠陥もあるが、いいところもある兄。だがこれは兄らしくない、と気が付いた弟が捜査に乗り出す、という展開で、登場人物が「ちょっとずつみんな怪しい」。探偵役の弟も犯人のトリックに惑わされ、地味だが図で表したいような登場人物全員のアリバイの話あり、そこに兄弟や親子の情が絡み、淡々と進む。堪能した。2016/12/23
やっす
6
なぜだか無性に英国ミステリが読みたくなり、それならこの人しかいない(?)ということでディヴァインを再読。w処女作とは思えない達者なストーリー運びと、ミステリとしての完成度の高さはやっぱり凄い。初読時と違い、さりげない手がかりの提示や伏線回収の見事さなどをじっくりと味わう事ができました。明るい未来の兆しを予感させるラスト一行のセリフも素晴らしいですね。良質なミステリは再読しても十分楽しめるという事を再確認できました。2015/09/09
Jimmy
5
これは傑作です!これが処女作とは信じがたい完成度。そして魅力的な込み入り具合はまさにド本格。なんといってもその文体が私にすーっと入ってくる気持ち良さ。さらには本当に無駄がないほどどんどん展開していくテンポの小気味良さ。ディヴァインは全作踏破目指します。2021/01/23
りきやん
4
刊行作が10を超えた記念に再読。処女作ということもありディヴァインにしては筋運びが流れていない感があるが、その分ミステリへの気概と、なによりロジックがふんだんに盛り込まれている。日本と欧米の兄弟感の違いのせいか若干の違和感はあるけれど、兄という、特別の好意がなくても理解が及んでしまう者への一言では表せない感情が、物語の行動原理にうまく絡んでいるのはさすがのディヴァイン。男女比が後者に大きく傾いているのも大きなポイントで、真実、真犯人、そして真のヒロインはだれなのか。面白く読ませていただきました。2015/02/12
ヨッシー
4
ディヴァインのデビュー作。アガサ・クリスティが称賛した、という。他作品と比べるとあまりこなれていない感じがありますが、やはりディヴァインらしさがしっかり全面に出ています。良作。2009/07/11
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