内容説明
イギリス南部の観光地をひかえた谷間の小さな村に住むドーランは26歳、骨董店を共同経営している。牧師の恋人がいるが、彼の娘に邪魔されてままならないでいる。あるとき、村の空き屋敷に家政婦を連れた元弁護士が越してきた。それ以来村人たちに落ち着きがなくなり、老人が突然死んだり、少女が自殺したり、様々な事件が起こる。すべてはその男の邪悪な精神のなせる業だったが。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
117
アガサ・クリスティー女史に代表される様に英国の女流作家には本当にフーダニット・ミステリの名手がたくさんおられるなあと本書を読んで改めて思いますよね。複雑なトリックというよりも目立たない全く読み手の眼中に思い浮かびもしない意外な犯人を創造する技に著者は本当に長けておられてもう名人芸の域に達しているなと感服しましたね。それから若き骨董商女子ドーランの名推理と恋路の行方をもっともっと読みたかったですが既に25年が過ぎた今ではもう続巻の刊行は望めそうにないなと諦めの気持ちに傾きつつ一縷の望みを抱いて待ち続けます。2018/01/20
maja
25
英国南部、谷間にひっそり佇む村で空き家になったまま取り残されていた樫の木屋敷。そこにある男が越してきてからというもの不穏なことが引き続く。村に住み、避寒地の観光地では骨董屋を営む主人公の若い娘ドーラン。何でもすぐに伝わる小さな村のコミニュティで活発に動き真相を浮かびあがらせていく彼女。常に応戦を練りあってる風の牧師ロニーとの仲がこなれていて気安くていい感じだが一筋縄には行かない事情も抱えて意外に奥深い。もはや続けて彼らの行方や村の事件を読めないとは残念に思う。再読。2025/03/24
sohara
4
浅羽莢子訳のミステリー。イングランド南部の小さな村に住み、近くの港町にある骨董の店を共同経営しているドーランを主人公とするシリーズ1作目。浅羽訳なので、安心して読み進められるも、コップの中の嵐というべきか、物語はドーランの住む村で終始するので、いささか広がりに欠けるきらいあり。むしろ、ドーランが大学をドロップアウトした26歳の娘なのに、そこそこの屋敷と骨董の店を所有しているという設定が興味深かった。1986年の作品だが、現在の英国でも通用する人物設定だろうか?2014/05/06
guriko
2
著者初読。「現代教養文庫」のミステリ・ボックスには当たり外れがあるけど、これはイマイチ。クリスティーみたいな話かと思いきや、悪意ある人物が早々に殺されて中々に想定外な展開。2025/01/18