内容説明
1139年冬、女帝の軍勢に攻められたウスターからの避難民の中にいるはずの貴族の姉弟が行方不明になった。一帯は夜盗が暴れ回り、あちこちで虐殺が行われていた。捜索にでたカドフェルは弟を見つけた帰途、凍結した小川の中に凍りついた娘の死体を発見する。それは姉弟と行動を共にしていた修道女だった。姉娘はいったいどこに?探索を続けるカドフェルの前に現れた若者は誰。
感想・レビュー
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geshi
25
いつものように若者を助けるカドフェルというストーリーが展開されるが、途中から夜盗団との対決構図が現れる変化を入れてきて、戦闘への期待をさせる。行方不明の姉の行動だったり、ワイルドカード的なキャラの万能っぷりだったり、かなり御都合感がある上に殺人犯もミステリ的にはあからさまで、カドフェルの活躍が薄く感じてしまった。貴族のお坊ちゃんらしくイーヴが誠実さをもって責務を全うしようとする姿勢が好ましく、カドフェルが助言を与え成長する様子がシリーズの醍醐味と言える。このオチだ前々作と矛盾しちゃいそうな…。2022/11/22
鐵太郎
18
1139年11月初め。女帝モードと国王スティーヴンの王位争奪の内乱がウスターの街を襲い、難民がシュルーズベリの街になだれ込みます。その中で、王家の血を引く貴族の子弟イーヴ少年とその姉アーミーナ、付き添いのヒラリア修道女が行方不明になります。シュロップシャーの執行副長官ヒュー・ベリンガーはカドフェルと共に捜査にあたりますが、この二人に小さな幸せが。二人の息子の姿。なんか、いいな。このお話。2005/03/03
snow
8
大好きな修道士カドフェルシリーズ。1992年刊なので、27年前の本。ネットの古本屋で見つけて、思わず買ってしまった。12世紀イギリス。ヘンリー一世死後の王の座を、娘のマチルダと甥のスティーブンが争う時代の中で、元十字軍兵士で今は施薬担当の修道士であるカドフェルが、問題を解決していくお話。心が疲れると、無性にカドフェルに会いたくなる。血なまぐさい話も多いのだけれど、カドフェルの優しさと強さに、今までどれほど力を貰って来たか。こういう本が廃盤になってしまうのは本当に惜しい。2019/05/20
みとと50
2
DNA鑑定もない時代の殺人事件の捜査の面白さ。 カドフェルの人柄が最大の魅力。 この修道女さんが可哀想。2012/06/13
madhatter
1
再読。言っても詮無いことではあるが、ある人物が発見された時点で、もっと話を聞いておくべきではなかったかという気がする。少なくとももっと早く殺人事件は解決できた気がする。その一方で、別の人物の自白とも取られかねない発言の扱いが巧い。発し手の立場によって、言葉の意味が異なり、指し示す事実も違ってくることが明らかになる場面は、非常に印象的だった。そして何よりも、あのラストシーン。良かったねカドフェル。2012/06/11