内容説明
1138年、イングランドの先王の死とともに王の娘モードと従兄弟スティーブンの間で継承権を巡って起こった戦い。スティーブンに占拠されたシュルーズベリでは捕虜となった94人が処刑された。埋葬のために城内に向かったカドフェルは95人の死体を見つけた。紛れ込んだ死体はいったい誰なのか?誰に、何のために殺されたのか?若き死者を悼んだカドフェルの捜査が始まる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
29
戦争下の時代背景が色濃く出ていて、処刑された死体の数が一つ多かった謎の引きが良く、前作よりも物語に時代的・人物的厚みが出ている。カオスの中からロゴスを導き出そうとする行為はカドフェルが持つ探偵と修道士の二つの役割に合致したもの。身分を装い僧院に匿われたゴディスを巡り、意図の読めない動きをするベリンガーがワイルドカードとなってハラハラさせられる。ミステリとしてはポッと出てきた証言で解決してしまう安易さが頂けないが、その後の正義をかけた決闘場面がしっかり描かれ、最後まで面白く読めた。2022/04/04
鐵太郎
14
時は1138年、初夏。カドフェル 57才。ノルマン王朝がイングランドを支配して70年、直系男子のいないヘンリー1世の死後、王位は先王の娘モード(マティルダ)とその従兄弟スティーヴンの間で争われます。その戦いに巻き込まれたシュルーズベリの村で起きた、奇妙な殺人事件がこの本。 この本で、22歳のヒュー・ベリンガーと18そこそこのアライン・サイフォードという二人の男女が登場。この二人はこの先カドフェルとどう関わるのかな。2005/01/29
桃柳
3
面白い。ゴドリックがとてもいい子。2022/03/30
エリコ
2
探偵役が修道士なだけあって、まさに神のひき臼はなんちゃらでした。2015/01/05
madhatter
2
再読。前作の牧歌的雰囲気とは打って変わって、マチルダとスティーヴンの歴史的内乱を背景とした、殺伐とした物語。推理小説としてはやはり、伏線を生かした状況証拠の積み重ねこそ楽しいが、あまり強力ではないし、直接的証拠も偶然によって発見されるという弱さはある。しかし、裏切り者をめぐる謎や、ゴディスはどうなるのかなどのサスペンス的な楽しみもあるし、犯人特定後、すぐに大団円を迎える訳でもなく、最初から最後まで退屈しない作品ではあった。2012/06/09
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