内容説明
12世紀半ばのイングランドのシュルーズベリ修道院。5月初めの気持ちよく晴れ上がった朝だった。かつて十字軍に参加し、今は薬草園の世話をしている修道士カドフェルは、今日こそグウィセリンの遺骨の話が持ち上がるにちがいない、と思った。野心家の副修道院長が有力な聖人の遺骨を手に入れて、この大修道院の守護聖人にまつろうと、聖人の遺骨探しに奔走していたからだ…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
31
これは人気シリーズになりますわ。カドフェルが元十字軍で俗世を知る修道士としてはアウトサイダー寄りのキャラクターだから探偵役としてもばっちり。登場物の描写が分かりやすくも「こういう人いる!」と思わせる塩梅。地元住民との遺骨を巡る対立、恋愛のいざこざ、若い修道士見習の身の振り方、山積する問題をどうやって解決するのか?がメインにあって殺人事件はその一要素という感じ。犯人当てはシンプルすぎるが、そこからの転がり方と全ての人を満足させる決着に持って行く荒業が決まっていて、安心して読める丁度よさ。2022/03/24
Koning
29
今は亡き教養文庫版発掘の回。カドフェルの出自と言いウェールズのちょっと北のほうの田舎にありそうな空気というか(うん、ドルゲサイあたりでそう感じたんだ)そのあたりといい、機転の利かせ方の素晴らしさよ!というところだったり、まだブイブイ言わせていた時代のベネディクト会の雰囲気だとか、その筋の皆さんには萌えツボだらけです。はい(笑)。ただ、久々に読み返して思ったのはあぁ、この頃の翻訳って今以上にウェールズ語なにそれ?なことになってて泣けるねぇ。まぁ、カドヴァイルにするとかはドラマですらカドフェルだったし(続く2015/10/02
鐵太郎
21
12世紀、イギリス、いやイングランド。ウェールズに近いシュロップシャーにある、シュルーズベリという町に、ベネディクト会派の修道院があります。イングランドに国教会ができるのは1534年のヘンリー8世の時代ですので、このころはまだキリスト教といえばカトリック。 ──この本は、この修道院が、箔をつけるためにウェールズの聖人製ウィニフレッドの遺骨を手に入れたいと考えたときから始まる、小さな歴史ミステリ。カドフェル修道士のデビュー作品です。2005/01/10
とも
19
★★☆大して面白くない。だるい、長い、進まない。最後の謎解き(?)までが、勢いも驚きもスリル感もなく、ただ流し読んだだけ。2014/03/15
くみ
9
12世紀のイングランドが舞台。ミステリですが、それ以上に当時の人たちの様子が生き生きと伝わってくるのが魅力。みんな事情を汲んだ上で、円満に解決する方法を暗黙の上に察知するところとか、スマートな大人の対応だなあと思う。正直、事件の結末とか処理の仕方は、中世時代を味方につけた力技ですが、この時代にはこういう始末の付け方もあったんだろうなあと納得させられました。2022/03/05