内容説明
人妻のポーランド美人に横恋慕したフランス人青年が、あろうことか、魂交換という想像を絶したインド妖術に訴えて、首尾よく彼女の夫になりすます。彼女に迫る貞操の危機…。そして、邪恋の行く末は…?破天荒なゴーチエの幻想が生み出した奇妙キテレツの物語『変化』。ほかに、二千年前のヴェスヴィオ噴火で見事な乳房の形を泥灰に残して死んだ美女が奇しくも現代によみがえってフランスの若者と愛を交わす『ポンペイの幻』と、これも四千年前に死んだエジプトの王女が、悪人に切り取られた自分の足を求めて霊界から訪れる『ミイラの足』を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あ げ こ
6
清艶に輝く純潔の美に抱いた、熱く憂鬱な愛。堅牢な拒絶を秘め、優麗に響く宣告の残酷さ、報われぬと悟ってなお、消せぬ思い…絶望に染まり病と化し、その身を緩慢なる死へと運ぶ。倦怠に篭り、蝕まれるがままの魂、今一度生へと繋ぐそれは、甘やかな秘術の誘惑。邪に浸り、それでも羽ばたけぬ愚かしさ。陰謀を跳ね除ける輝きの強さ。決して稀有なものではない思いに濃密な陰惨さを、退廃を寄せ付けぬ美の気高さを示し、悠久の恩寵を施すよう、潤沢に散りばめた言葉。死さえ超え得る幻術への陶酔、昏い欲望より生まれた、不可思議で、魅惑的な物語。2015/08/06
龍國竣/リュウゴク
0
解説によれば、作者は「シェルボノー医師のような立場を念願していた」。医師は「科学が軽蔑している事がらを研究して、活用されていない不可知の力を自由にあやつる術を会得し、自然なものでありながら驚異的に見える現象を作り出す」と述べる。これは幻想文学の形ではないか。2014/03/13
izumone
0
ファム・ファタール,結局自分は巡り会えなかったな。2023/09/01