内容説明
いたずらものの妖精が人間の世界と行き来して、魔法を使ったり変身したり、人の運命をあやつるというケルトの幻想世界は、悲しく、美しく、そして、魅力あふれるロマンに彩られている。本書は、ヨーロッパの先住民ケルト人の文化が、いまだに色濃くのこるアイルランドとスコットランドに伝えられた民話のなかから、妖精にかかわる物語16篇を収録した。
目次
妖精の国(コンラと妖精の少女;コーマック・マック・アートが妖精の国へ行った話;グリィシュ;パディ・オケリーとイタチ)
子どもたちの悲しみ(リールの子たちの運命;金の木と銀の木;ミドヴェイの羊飼い)
変身(語り役の挫折;モラハ;フェア、ブラウン、トレンブリング)
冒険とロマンス(人魚;黒い馬;山羊皮の若者;ギリシャの姫と庭番の息子)
魔法の世界(鳥の闘い;うすのろと王子たち)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
18
#日本怪奇幻想読者クラブ 同じケルトと言っても、ウェールズ、スコットランド、アイルランド、ブルターニュ、バスクなど地方によって夫々なのだとか。アイルランドといえばすぐにレプラコーンと思ってしまうのだけれど、この本には王様や王子様お姫様ものが多かったです。ただ、同時進行で読んでいるスコットランドものより、恋バナも確かに明るいし馴染みやすい感じ(スコットランドは重厚でくら〜いw)。楽しんで読めました。2020/02/18
のれん
10
ケルトの不可思議な民話集。 普通民話というのは桃太郎と同じで組み合わせた話があるので、プロットの骨子が繋がってない部分がある。ただ今作はキャラに無茶苦茶さがあっても、その骨子にぶつ切りを感じなかった。特にラストの「うすのろと王子たち」は組み合わせは分かるのに、キャラが滑稽かつテンポがよく楽しかった。 ギリシャ(ローマ)への憧れとキリスト教賛美の姿勢から、中世以降のケルト文化の在りかたが分かるというもの。強大なものから失墜するからこそ美しいのかもしれない。2020/02/24
mochi_u
4
アイルランドを舞台にした民話集です。王子さまやお姫さまに一般庶民といった人間たち、そしてケルトの民話といえばおなじみの妖精やドルイドに巨人たちががおりなすさまざまな物語が、語りかけるような民話的口調で収録されていました。白鳥に姿をかえられて九百年間エリンの地を彷徨いつづける子供達の悲劇や、白雪姫をおもわせる話にシンデレラのような物語、そして冒険とロマンスの物語などなど、十六編の民話を通じてケルト民族の息吹をかんじることができました。2017/01/28
トイ
2
ケルト版シンデレラやケルト版白雪姫などがあった。一番面白かったのはモラハかな、中身はおっさんだが犬がテーブルマナーをしっかりとやって子供の世話をやってるのは想像すると結構可愛い。しかし、この話で一番の見どころは妻だろう。自分の勘違いで夫を動物にしたあげく、「夫の話はわたしが証明します!」って少しは罪悪感感じろと笑った。2013/05/08
technohippy
0
たぶんたくさんの象徴が含まれてるんだろうけど、よく分からない。それにしてもこういう粗筋だけみたいな話がどうして何百年(もっと?)も残るのかが不思議。口伝される時はもっと臨場感をもって語られるものが、書き起こされる時にシンプルになるのかな。2013/10/22