内容説明
「サンチョ、見えるか、あの途方もない巨人の群れが?拙者は奴らと一戦し、息の根をとめてやりたい。」「殿、ご冗談を。あそこに見えますのは巨人ではなく風車です。」われらの英雄の耳には、この従者の声は聞こえなかった。盾で身を守り、槍をしっかり小脇にかかえ、一路、風車に突進。…狂気と正気、妄想と現実のあいだにもてあそばれる〈ドン・キホーテ〉はわれわれの近くにもいるのでは?本書は、フランスの画家ギュスターヴ・ドレによる120枚の挿絵に場面の説明を付し、絵物語風に編んだもの。詩情豊かな絵がセルバンテスの名作にもうひとつの命をあたえている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとちん@脊椎オパ3/10参戦
6
打ちのめされました(笑)。展開の速さについて行けず(展開と言うか省略が激し過ぎ)また辻褄がチラホラ合わずそれはそれは私の様な輩には難解でございました(笑)。しかし、挿し絵のタイトルが秀逸でした(と言うか笑えました)。きっと時代背景等詳しく知ればもっと面白いハズだと思います。2012/01/05
あくび虫
2
はっとする美しい挿絵。挿絵という表現もためらうような圧倒的な存在感。画集に文字が寄せてある、という方が実感に近いです。――かいつまんで話を読める上に、見ごたえのある絵の数々を楽しめる素敵な一冊。2019/09/08
middle of oreki
2
挿し絵がイカス!訳もわかりやすく、物語を最大限に楽しませてくれる。再読されるのに最適かと。2011/01/11
がんぞ
1
『ドン・キホーテ』は昔読んだ事があるが、ことに『続…』の最後、主人公が死に際に熱に浮かされて正気に帰り、サンチョに「騎士道などはとっくの昔に滅びていた、お前を引っ張り回してすまないことをした」と告白する場面が凄い。薄い文庫本の左が画、右側に対応した文章で筋は切れ切れ。ドレの画はことに群衆シーンが見事で、この本を見るまでは会話文の背後に群集・野次馬などが居るシーンが多いのを意識していなかった。喜劇となれば当然、狂気の人を笑い者にする「正気」の一般大衆が要る。テレビのお笑い番組のスタジオ観客みたいに。2012/10/08
Gimmikc
0
美しい訳に、生き生きとした挿画。一気読みでした。2016/10/21