内容説明
生と死、動物と人間、現実と夢想、地上と天上が、たがいに呼びかけあうシュペルヴィエル的宇宙へ誘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
28
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の二・洋編〉 90 年(平成2年)の税抜466円の現代教養文庫初版。底本は詩人のシュペルヴィエルの第一短編集で8編収録の完訳。本書はそれに14編の詩を追加してある。意外な事に本邦での完訳一番乗りはハヤカワ文庫NVで、それは第二短編集「ノアの方舟」との合本で出した…詩抄は付いてないけど今読めるならお買い得である。「セーヌ川の…」は、セーヌ川を流れてゆく水死体の私の話…生前の記憶が無いのだよね。「競馬のつづき」は馬になった紳士騎手フロックス卿の話。表題作は鉄板だよ。★★★★☆☆2025/08/01
kurumi
1
ただ一つの願いを想うが為に、自らが不幸になっても構わない。良く言えば「思慮深く」、悪く言えば「欲深い」。どちらか一方に傾けすぎると、バランスは忽ち崩れ、その先の幸運を見守る事はもうできないのである。特に好きな短編である、まぶねの牡牛とロバはそれを顕著に感じる。そしてどの短編でも、少なからず不幸な人達が出てくる中、天上界の恋人たちはまだ救いがあったように感じる。静かに語りかける欲に対しての扱いが非常に上手く、それが幻想世界に溶け込んで混ざる様は、見とれてしまうものだった。2023/04/29
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- 和書
- Little angel