感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
31
昭和50年頃の文庫。映画作品史で戦後編とか数冊が並んでいて何回か手に取ったが購入したなかった本。教養文庫とか社会思想社って肩書きがためらわせたのだと思う。しかし、この量には圧倒される。当時権威を持っていた「社会主義的」な判断基準は今となっては回顧を含めて新鮮、明快な気持ち良さすら感じる。兎に角糞真面目。大正の始めに小山内薫が映画に出ていた、ってのは初耳。小生の記憶によると70年代頃、演劇界では「もっと喜劇を笑いをミュージカルを」っていう主張が幅を利かせていて、続く2018/02/24
印度 洋一郎
3
二十世紀の日本映画を代表する脚本家の一人である著者による、戦前の日本映画の名作を網羅した、大変資料的価値の高い一冊(明治時代から昭和20年までの主要作品リストも)。洋画にもましてフィルムが現存しない邦画を、観た時の思い出も交えながら綴る文章は、貴重な映画史の証言でもある。特に、昭和10年代後半の日本隆盛期の松竹蒲田在籍時の思いで話も、当時の松竹の内幕を少し伺わせてくれる。全体的に、選ばれた作品が文芸、ドラマばかりなのは仕方が無いと思うが、エノケン映画とか活劇、戦争映画も少しは入れて欲しかった気もする。2017/12/23