感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
57
史記の中から著者が厳選した列伝・世家・本紀。孔子、老子、韓非のいずれもが生き生きと描かれている。そして、そこには今で言うプレゼンテーションの極意が書かれていて驚いた。やはり外せないのが、項羽、劉季(劉邦)の逸話だった。そこに呂后という烈女を本紀として加え、通史として司馬遷が伝えたかった人間の本質を、見事に表現している。2022/07/13
isao_key
5
『史記』全130巻中の本紀、世家、列伝より15篇を選び、司馬遷自身の序文『太子公自序』を併せて載せる。全篇を通して古より中国では、賄賂がいかに横行していたかと、面子を重んじる文化がよく分かる。ただし訳に難あり。むしろ本書の読みどころは解説。『史記』の文学的性格と歴史的性格は不可分に結びついていて、1.同一の伝中では、同一人物のあり方を統一する。2.ある伝中に、相反するあり方を示す人物・事象をことさら対照的に配置する。3.同一伝中の登場人物や事件の性格と文章全体の雰囲気を一致させる。という脚色を加えている。2015/01/03