目次
はじめに あなたの身近にアイヌはいますか?
1 北海道はいつから日本領になったのだろうか(江戸幕府は蝦夷地をどう見ていたか;蝦夷地の「幕領化」とは何か;蝦夷地でのアイヌと和人の関係はどんなものだったのか)
2 近代の日本はアイヌにどんな政策をとったのだろうか(幕末に起きた変化とは?:第二次幕領期;アイヌ・モシリはどこへ…:明治政府の政策;アイヌを日本国民にするとはどういうこと?;移転・集住化政策は何をもたらしたのか;この土地はだれものもの?;狩りも漁も不自由に:生活はどのように変わったか;旧土人保護法の何が問題か)
3 アイヌ自身による近代化(同化か、文化変容か;アイヌは自分たちの歴史をどう見たのか;アイヌは「言葉」にどう向き合ったか;血統とアイヌ:民族とは何だろう?;アイヌ・アイデンティティの発明)
著者等紹介
坂田美奈子[サカタミナコ]
1969年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了(博士(学術))。現在、苫小牧駒澤大学准教授。専攻はエスノヒストリー、先住民史研究、北海道史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
29
先住民の歴史を眺めて驚かされるのは,いずれももともと人口数万の小さな社会集団が,圧倒的な武力と経済力を持つ現在の支配国家の統治下に入り,多種多様な制度的圧迫や,物理的・精神的暴力にさらされ,いずれも支配民族から早晩滅びると予測されながらも,その予想を大きく裏切り,今日,先住民としての復権を進めている,という点/新法の成立で気になって読んでみました。近現代のアイヌについて学べる内容だったと思います。言語と血の問題など。2019/05/11
軍縮地球市民shinshin
12
アイヌ民族史研究の第一人者である著者が、アイヌとは何か?について平易に著した良書。和人がアイヌを収奪してきたというマルクス主義史観むを排除し、真の共生社会を実現するためには著者のような視点が重要だと感じる。ただ、戦後直ぐに「アイヌは既に滅びた」と何度も主張したアイヌの血を引く言語学者知里真志保の言説をまったく引用・言及していないのは解せない。アイヌ自らが民族性を否定したのは、なぜなのか?この重要なことをぜひ著者はもっと厚い本で解明して欲しい。2019/05/09
渡邊利道
5
幕藩体制下のアイヌ、維新後の日本の近代化に組み込まれていくアイヌ、そしてアイヌ自体の近代化と現在という三部構成で先住民アイヌについて教えてくれる教科書的な本。とても簡潔明瞭な文章で大変わかりやすい。なんとなくわかった気でいることや曖昧な知識をきちんと整理できた。とてもいい本で、中学とかの教材にしたら良さそう。2019/01/24
8bits
2
授業のために読んだ。アイヌの人々は日本の文化を受け入れながらも、和人から受けた差別をなくすための武器として日本人という枠組みに入ったことがわかった。アイヌ民族のアイデンティティが確認できる一冊だった。2020/01/22
のら
2
良書。先住民とは何か?ということすら知らなかった私でも、スラスラと読むことが出来ました。同化と文化変容の違い、言語と民族的帰属は無関係であること、民族は血筋の純血性で成立するものでは無いこと等学べました。2019/03/01