感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wei xian tiang
3
ルソン出身の女性が父系母系それぞれの近過去伝承を綴った大変面白い本。戦前の比島は片やアメリカの物質文明に浴し、片やウィチクラフ(吸血鬼。バリのleakのような存在か)やバナナンガルの跋扈する魔術的世界が併存している。著者の父、抗日ゲリラとしての記憶も凄惨の極み。我々はニューギニアやインパールの戦記で日本軍将兵による飢餓の果ての人肉食をある程度知っているが、ゲリラが補給のない絶望的な状況の中、日本兵を待ち伏せ殺しては食べ、終いには日比問わず道端の死体を見つけては、腐っていない部位を探して食べていたとの証言に2015/02/24