内容説明
「自由民権」それは、時の藩閥専制政府に抵抗した明治の民衆がかかげた理念である。彼らは全国各地で人間の自由と権利の恢復をめざして活発な運動を展開した。この民権運動の陣営には、多くの知識人が参加した。日本ではじめて、層としての知識人が民衆の側に立ったのである。中江兆民と植木枝盛は、そうした民権論者の代表的な人物である。二人は、もっとも深く民主主義思想をとらえ、民権運動とともに生き、自由民権を抑圧しようとする政治権力とまっこうから対立した。その思想と行動の軌跡を明らかにする。
目次
序章 自由民権運動と中江兆民・植木枝盛
1 留学生知識人と土着民権家(学問好きの中江少年;フランス留学と兆民;東洋のルソー;植木の生い立ち;正論家植木の登場;立志社と植木)
2 自由民権運動のなかで(自由民権運動の展開;自由民権の原理;植木の民主主義思想―憲法案を中心に;自由党の結成;植木と酒屋会議;民権運動退潮のなかで)
3 明治国家とのたたかい(三大事件建白運動;自由と平等をめざして;恩賜的民権から恢復的民権へ;植木の婦人解放論;人民の代議士;民権是れ至理也、自由平等是れ大義也)
著者等紹介
松永昌三[マツナガショウゾウ]
1932年(昭和7)、三重県に生まれる。東京教育大学大学院文学研究科博士課程修了。日本近代思想史専攻。文学博士。都留文科大学、茨城大学、岡山大学、日本女子大学の教授を歴任。茨城大学・岡山大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。