内容説明
契沖・賀茂真淵の学問を土台として、本居宣長はなぜ執拗に国学を追求したのか。儒教・仏教が時代を支配している中で、あたかも祈りと怨念をこめたように、ただひたすら『古事記』に、『万葉集』に、『源氏物語』に没頭し、漢意批判に徹底した。まさにそれは、混迷する時代的状況の中の血みどろの闘いであった。逆に宣長こそ歴史の形成される過程で磨かれていくひとつの大きな魂であったといえる。本書は、時代を透視する鋭い眼と柔軟な思考方法とを体得した宣長の生い立ちから、『古事記伝』完成までのながいみちのりをとらえる。
目次
1 本居宣長の精神形成(浄土信仰の厚い家に生まれる;今井田養子と人間形成;本居復姓の精神的意義;本居学の学問的系譜;徂徠学宣長学;伊勢松坂の町人 本居宣長)
2 近世国学の成立と宣長学(契沖と宣長;真淵と宣長;国学の成立と西洋知識;『直毘霊』の成立と「妙理」;『古事記伝』の成立)
3 宣長とその時代(天明の「世直し状況」と本居宣長;本居宣長の国体観;寛政期の宣長;『うひ山ぶみ』―国学とは何ぞや;あとがき;年譜;参考文献;さくいん)
著者等紹介
芳賀登[ハガノボル]
1926(大正15)年、愛知県に生まれる。東京文理科大学卒。日本近世文化史・国学史・明治維新史専攻。大阪教育大学教授、筑波大学教授、東京家政学院大学教授などを歴任。筑波大学名誉教授。2012年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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