出版社内容情報
川添 昭二[カワゾエショウジ]
著・文・その他
内容説明
蒙古襲来は、異民族による大々的な侵攻として日本史上他に例をみない大事件であった。「信仰は時代に生きる指針だ」とした日蓮にとって、蒙古問題はその教説の展開に本質をかけた課題であった。日蓮は、蒙古問題を軸にした自己の教説を社会化したのである。宗教的な面から、敵国降伏を祈ることには、たしかに疑問も残るであろう。しかし、『法華経』至上主義の立場から「国心」を統一し、「国難」に対処しようとした努力は、ある意味で今日の日本を形づくっているともいえる。本書は、蒙古襲来を通して、日蓮の宗教精神を克明に物語っている。
目次
1 『立正安国論』とその前後(日蓮は時代に生きる;論理と事実は重い;内乱と外寇の予言)
2 蒙古国書の到来(東アジア世界のなかの日本;身命を捨てて国恩に報じよう;日蓮を誤るもの;おもいあう祈り)
3 文永八年の法難(日本国は釈尊の所領;法華一揆はなぜおこったか;滝口法難はおこるべくしておこった;滝口法難の構造;防衛体制の強化;佐渡から身延へ)
4 異国合戦―文永の役(壱岐・対馬のごとく;文永の役に“神風”は吹いたか;よしなき海を守り)
5 終焉の章―弘安の役と日蓮の死(日蓮と武士信徒;心静かな仏の世界へ)
著者等紹介
川添昭二[カワゾエショウジ]
1927(昭和2)年、佐賀県に生まれる。九州大学文学部国史科卒。日本中世史専攻。九州大学文学部教授、福岡大学人文学部教授など歴任。九州大学名誉教授。2018年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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