内容説明
唐・宋の変革期を経て展開される新時代の精神構造、それはいわゆる朱子学であり、その大成者こそ朱子である。これを新儒学と称するならば、新儒学の変革は、王陽明の出現によって実現される。本書は、新儒学の中に、朱子・王陽明が人間としてどのような苦悩を背負いながら、その学を形成していったか、とりわけ新儒学のバックボーンとして大学はどのように位置づけられたかを追求したものである。中国では、近年、新たなる孔子評価が展開されてきた。儒学の巨星、朱子と王陽明を正しく知ることは、中国理解のための第一歩ともなろう。
目次
1 新儒学の形成(唐宋の変革;古文復興と新儒学の胎動 ほか)
2 宋代の社会と新儒学(宋の新官僚階級;新儒学の成立)
3 朱子とその時代(朱子の出現;朱子の学術と社会政策 ほか)
4 朱子と大学(宋元の儒学の展開;『大学衍義』から『大学衍義補』へ)
5 王陽明とその時代(陸九淵と王陽明;王陽明の活躍 ほか)
著者等紹介
間野潜龍[マノセンリュウ]
1923(大正12)年、大阪府に生まれる。京都大学文学部史学科(東洋史)卒業。京都大学助手、大谷大学助教授、富山大学・大阪外国語大学教授を歴任。文学博士。1981年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
5
中国思想史を紐解けば必ず出てくる二人。朱子学と陽明学という一大学派を形成することになる知の巨人。そんな思想体系には深入りせず、歴史の流れの中に二人を位置づけようと試みる(あとがきより)。これなら、入門書として最適かなと思えて、挑戦…無理でした(涙)。難しいし、分からないし、眠くなるし。2020/05/24
Ohe Hiroyuki
2
本書は、朱子学と陽明学の元祖ともいうべき朱熹と王陽明の人生について振り返った一冊。▼背景事情として、新儒学、朱子学、陽明学に触れられているが、基本的には両名の人生が記されていて読み物として面白い。▼本書を読むと宋明の官僚がどのような人生を歩んでいたのかがよく分かる。朱熹も王陽明も官僚として優れた成果を残している。彼らは学問的に優れていただけではなく、実務家としても優れているようだ。▼本書を読むと、宋や明は、科挙を軸とし、官僚が支える国家であることが分かり、手に取ることをお勧めしたい。2020/09/04