出版社内容情報
竺沙 雅章[チクサ マサアキ]
著・文・その他
内容説明
一〇世紀の中国は、分裂から統一への激動の時代であった。世紀はじめに唐朝が崩壊し、五代十国とよばれる乱世が半世紀も続き、幾多の武将が覇権を求めて抗争をくりかえした。この混乱をおさめ、ふたたび中国を統一したのは、宋の太祖と太宗とであった。二人は統一事業を遂行するなかで、唐代の貴族制に代わる新しい君主独裁体制を完成した。その歴史上の役割は、わが豊臣秀吉と徳川家康とに似るといわれる。本書は、激動の世に生き、新しい時代をきり開いた二人の皇帝の生涯をたどり、その人間像を鮮明に浮かび上がらせた労作である。
目次
1 五代乱離(混乱の世;若き日の太祖と太宗;民族の苦悩;英主世宗)
2 統一国家の建設(陳橋の変;中央集権の強化;統一への道程)
3 独裁君主の登場(太祖から太宗へ;文化国家の建設;外征の失敗;独裁君主たる太宗)
著者等紹介
竺沙雅章[チクサマサアキ]
1930(昭和5)年、京都府に生まれる。京都大学文学部東洋史学卒業。京都大学人文科学研究所助手、同助教授、同文学部教授、大谷大学文学部教授を歴任。京都大学名誉教授。文学博士。2015年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
7
歴史学で正面から扱うのは唯一であろう、宋の趙匡胤と弟趙匡義の伝記。それだけでも価値があるが、マイナーな五代十国時代を分かりやすく概観してくれる。2020/12/06
見もの・読みもの日記
2
分裂の時代・五代十国から説き起こし、宋の太祖・趙匡胤と弟の太宗・趙匡義の事蹟を紹介する。兄弟の伝位には謎が多い。宋というと庶民文化のイメージを持っていたが、むしろ君主独裁が強化されたために、皇帝の手足となる官僚が力を得たのだと理解した。2019/01/03
あらい/にったのひと
1
北宋成立期の話がわかりやすく読みやすい文章で描かれている好著。元の本は75年刊行、著者も15年には亡くなっているという点では結構古い本ですね。趙匡胤に対する見方が意外と厳しいというか、趙匡義の方に皇帝の姿を見ているという感じがあり、なるほどねえ〜と思いながら読んでいた。個人的には趙匡胤も評価されてよい治世だったんでは…? とも思うけど。読みやすさは抜群なので、昨今の研究を反映した改訂版とか出してほしいなあ。2023/11/30
すいか
0
五代史の概説を求めて手に取ったが、Ⅰ部の五代の概観は華北における覇権争いの概容がわかりやすく整理できた。後梁→後唐は河南軍閥と山西軍閥の勢力争い、後唐以降は山西軍閥の内部抗争という指摘には納得。2022/06/30
URI(病気養生
0
五代の成り立ち、特に改革者としての後梁の朱全忠の評価等詳細に書いてありどのように唐の制度から宋の世の中になったかと言う流れが把握しやすかった。2019/12/14