出版社内容情報
西村 貞二[ニシムラ テイジ]
著・文・その他
内容説明
西洋絵画史における最大の芸術家、独創的な科学者・技術者としてのレオナルド=ダ=ヴィンチの名は、あまりにもよく知られているが、かれが歩んだ苦難の道はそれほど知られていない。はなやかなルネサンス文化のかげに権謀の渦まく政治界や混沌とした社会のなかで、レオナルドはいかに自己を発見し形成したか?本書は、ルネサンス史の精通者たる著者が、レオナルドの謎にみちた生涯を、かれ自身から、かれの背景にある社会から解明する。
目次
1 ルネサンス的人間―その背景(ルネサンス的人間;政治と社会;思潮;自然の発見)
2 万能の人―その諸相(科学者の場合;政治学者の場合;芸術家の場合;出現の条件)
3 レオナルド=ダ=ヴィンチ―その生涯と業績(青春時代の霧;彷徨と探求;故郷喪失者;生々流転)
著者等紹介
西村貞二[ニシムラテイジ]
1913(大正2)年京都市に生まれる。東京大学文学部西洋史学科卒。旧制二高教授、東北大学教授を歴任。東北大学名誉教授。2004年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
4
レオナルド・ダ・ヴィンチ。決して突然変異ではなく、イタリアルネサンスの中から生まれた必然の”万能の”一人。その中でも、ルネサンスの人であったことが単なる偶然に見えるほど、歴史を超越した”天才”。生涯を眺めると、未完の作品が多くてなんだか天才というより器用貧乏、芸術家というより科学者のような印象を受ける。もっとも「モナリザ」と「最後の晩餐」だけで不朽の名声を得ただろうけど。わかりやすい本書の唯一の欠点は、引用が文語調になっている点。2020/04/27
Masa03
0
移り気な天才か、眼前に聳えるものの壮大さに抗った天才か。 レオナルド・ダ・ヴィンチ。ルネサンス・イタリアを語るうえでは欠かせないものの、著名な作品の数々に比べてその人生はそれほど有名ではない気がする。 逆光のメディチはレオナルドが自身を女性に仮託してるので、どこまで事実かよくわからなかったというのはあるが。。。 そこで少し古い本ながらちゃんとした研究に基づく本を読めたくて読んでみた。 未完成の作品が多いから、移り気な天才だと思っていたが最後の文を読んでそういう解釈もあるかと少し納得した。2024/02/19