出版社内容情報
狩野 直禎[カノ ナオサダ]
著・文・その他
内容説明
『三国志演義』という虚構のプリズムを通してしか、われわれの前に像を結ばなかった諸葛孔明と司馬仲達、そして彼らの生きた三国の時代とははたして何か?約四〇〇年もの間、中国を支配した漢王朝が音をたてて崩壊する、まさにその時が三国時代の始まりであった。それは単に、一つの王朝が倒れただけではなかった。古代統一国家が崩壊したのである。統一から分裂へ、これがこの時代を流れるキーワードであった。政治だけにとどまらず、思想・文学・芸術…本書は、孔明と仲達を軸に分裂の時代「三国志」の世界を明らかにするものである。
目次
1 臥竜(三人の英雄;曹操、頭角をあらわす;三顧の礼)
2 荊州より益州へ(曹操の荊州占領;赤壁の戦い;劉備の益州占領;劉備、荊州を失う)
3 孔明、丞相となる(魏の建国と劉備の死;西南夷と魏の動向)
4 大業ならず(出師の表;北征三たび成功せず)
5 孔明の死と仲達の栄達(五丈原;実力者、仲達;浮華の徒;クーデタ;むすび)
著者等紹介
狩野直禎[カノナオサダ]
1929(昭和4)年東京市に生まれる。京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒。聖心女子大学助教授を経て、京都女子大学教授。1993年京都女子大学・京都女子短期大学部学長。1997年退職。2017年逝去。前三国志学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
5
あまりに有名な三国志の世界。子供の頃からマンガにゲームにと親しんできた。それだけに諸葛孔明と司馬仲達を対比させたとはいえ、本書でも新鮮味に欠ける。オーソドックスに足跡を追いかけるには適しているとは思う。追伸。出版された2017年に著者が亡くなられている。本書の改訂作業が最後の仕事になったのだろうか?謹んでご冥福をお祈りいたします。2020/01/27
Masa03
1
ちゃんと字と名を区別してる(笑) 日本で大人気の孔明と、最大のライバル仲達について真面目に書かれた本。 流石は劉備玄徳とかってトンデモ記載ないのはポイント高い、というか、それが普通なんだが。。。 さて、中国史研究の際立った特徴として、次の王朝が歴史を書いたものが第一級資料にならざるを得ないという点。 だから、司馬懿の事績とか曹爽との権力闘争は割り引いて考えなきゃいけない。 他の国の歴史も大なり小なりあるが、中国史は露骨。 そんな中では公平を期して記述がされているのはいいと思う。2023/12/27