出版社内容情報
安田 元久[ヤスダ モトヒサ]
著・文・その他
内容説明
一二世紀は、日本の歴史の激動期のひとつである。長い間の天皇・上皇、あるいは貴族による支配から、武士階級を基礎にした支配へと政治の形態が移る過渡期にあたっている。平清盛は、まさに、この時代に生まれ、院政に抵抗して自ら激動をおこし、その激動の最中に滅びていった。そこに、歴史の大きな流れと、清盛自身の卓越した力と悲劇とがある。本書は、その歴史的過程を史実にのっとって克明に描き出したものである。
目次
1 激動の時代と歴史的人物
2 伊勢平氏
3 武門の貴公子
4 平清盛の台頭
5 権勢への道
6 平氏の政権とその危機
著者等紹介
安田元久[ヤスダモトヒサ]
1918(大正7)年生まれ。東京大学文学部国史科卒、同大学院特別研究生、同大文学部助手、北海道大学助教授、学習院大学教授を歴任。文学博士。1996年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
5
「平家物語」の時代は過渡期の時代だ。そこで主役を演じる平清盛(平氏政権)は新旧二つの面を持つ。古代の終わりを告げる貴族政権か、中世を開く武家政権のプロトタイプか。著者の見解は前者の側面をより重視しているようだ。古代体制の最終形態である院政と結びついて台頭し、やがて対立し没落する過程を描く。2019/11/11
Masa03
0
確かに清盛って悪役扱いだよね。 数年前の大河ドラマの主役ながら、平清盛はどうにも悪役のイメージが尽きない。 勝てば官軍で源氏の世が長く続いたからかと思っていたが、執権北条氏も織田も平氏を名乗った。 本書ではそのイメージに触れ、明治期から教科書で清盛の悪役イメージが醸成されたと喝破する。 こういう、当たり前とされてきたことが覆されるのを見るたびに、歴史研究が進むのが楽しくなる。 光秀も、会津藩も大河になるほど復権したし、あとは後醍醐か三成かな。2023/12/13