内容説明
複雑で多面的な文学者魯迅の実像を伝える一冊。
目次
第1章 魯迅―作家までの道のり(医学生周樹人から作家魯迅へ;魯迅の描いた作品世界―『吶喊』から『彷徨』まで)
第2章 日記のなかの魯迅―映し出された作家人生(魯迅日記とは;中華民国教育部に奉職した魯迅 ほか)
第3章 現実に向き合う古典文学者魯迅(古典文学者としての魯迅;魯迅が語った魏晋時代の文人像 ほか)
第4章 語られ始めた魯迅、語り継がれてきた魯迅(語られ始めた魯迅;語り継がれてきた革命作家魯迅 ほか)
著者等紹介
林田愼之助[ハヤシダシンノスケ]
1932(昭和7)年福岡県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。九州大学大学院文学研究科助教授を経て、神戸女子大学名誉教授。専門:中国文学。文学博士
小山三郎[コヤマサブロウ]
1952(昭和27)年埼玉県生まれ、82年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程(政治学専攻)修了。杏林大学外国語学部教授(1982年‐2016年)、法学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
3
何冊か関連書や作品、また書簡を読んだりするのだけれども、複雑すぎていかんせん理解が追い付かない作家のひとりが、魯迅という人である。本書は魯迅と時代を整理するのに役立ったし、多面性を持つこの作家に様々な角度から光を当てていて理解の助けになったが(ただ息子さんの誕生等割愛してある箇所もあった)、それでもやはり複雑微妙だ。魯迅は激しい、厳しい、しかし温かな人である。間違いなく無私の、独立の人である。本質を見抜く人である。血涙を流しつつも中国人の暗部を容赦なく抉り出してーつまり青年を、民衆を信頼した人である・・。2019/04/12