出版社内容情報
丹羽 京子[ニワ キョウコ]
著・文・その他
内容説明
一九一三年、ベンガルの詩人タゴールは、一冊の詩集によって、アジア人のみならず非ヨーロッパ人として初めてノーベル文学賞を受賞した。以来、タゴールは世界的な詩人として高く評価され、ロマン・ロランやガンディーといった国内外の著名人と親交を結び、世界各国を訪問、日本にも通算五回訪れている。タゴールの時代には、インド亜大陸はイギリスの支配下にあったが、独立国になると同時に二国となった今日でも、タゴールがインド、バングラデシュ双方の誇りであることは、二国ともがタゴール作詩作曲の歌を国歌と制定していることからもうかがえる。タゴールという存在はベンガルの文化的支柱であり、またその珠玉の詩はベンガル人のこころの支えとなっている。この偉大な詩人の軌跡を描き出し、その今日的な意味を問う。
目次
第1章 一九一三年、ノーベル賞受賞
第2章 詩人をめぐる論争
第3章 黄金のベンガル
第4章 歌い演じる
第5章 「世界」と「ふたり」、ふたつの「わたし」
第6章 女性たち
第7章 詩に生きる
著者等紹介
丹羽京子[ニワキョウコ]
1957年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了ののち、コルカタのジャドブプル大学比較文学科博士課程で学び、88年にPh.D.取得。東京外国語大学准教授。専門はベンガル文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たま
53
タゴールの『少年時代』が面白かったので、「人と思想」シリーズのタゴールを読んだ。前半はノーベル賞受賞の経緯、日本訪問時の日本の反応、生涯という順に叙述が進みとても読みやすい。後半は戯曲、小説、女性たち、詩の紹介にあてられ、幅広い活動が良く分かる。自作の芝居を自ら歌い演じたと言うのが面白い。詩は、ベンガル恋愛詩の伝統やタゴール家独特の宗教思想を踏まえているらしく、良く理解するためには知識が必要のようだ。一つだけ、児童婚の伝統には違和感を禁じ得ない。妻は10歳で結婚し12歳から出産、28歳で亡くなったと言う。2023/04/05