出版社内容情報
山田 直[ヤマダ タダシ]
著・文・その他
内容説明
私たちは今、私たち人類自身が産みだした科学技術の巨大な怪物を扱いかね、逆にこれによって翻弄されている。この事実は、一部の識者だけでなく、現在、世界的規模で論じられている核問題・環境汚染問題・臓器移植問題などによって、私たちのすべてが身近なものとして痛感させられている。科学の急速な進歩に人間の心と精神が追いつけなくなっている現状は誰の目にも明らかで、もしヴァレリーが生きていたら何といったであろう、と思わざるをえない。彼はすでに約一世紀前の一九一九年に「精神の危機」を発表し、技術偏重によって商品化した科学を指弾して、人類に警鐘を打ち鳴らしている。ところが人間は彼の警告を無視して反対の方向へつっ走り、彼が恐れていたような今日の危機を招いてしまった。どうすれば私たちは正しく機能する精神を復活させ、人間性を取りもどすことができるだろうか。今こそヴァレリーを読み、彼から学ぶべきである。
目次
序章 栄光の実像と虚像
1 ヴァレリーの家系
2 青春時代と沈黙の二〇年
3 「ジェノヴァの危機」と自己革命
4 精神の日記『カイエ』
5 デカルトへの傾倒
6 ヴァレリーの科学思想
7 ヴァレリーの政治思想
著者等紹介
山田直[ヤマダタダシ]
1928(昭和3)年、群馬県に生まれる。慶応義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。名古屋明徳短期大学教授、慶応義塾大学教授を歴任。慶応義塾大学名誉教授。フランス文学専攻。元日本ペンクラブ会員。2015年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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