出版社内容情報
吉田 禎吾[ヨシダ テイゴ]
著・文・その他
板橋 作美[イタバシ サクミ]
著・文・その他
浜本 満[ハマモト ミツル]
著・文・その他
目次
1 レヴィ=ストロースの人と業績
2 レヴィ=ストロースと『親族の基本構造』(インセスト・タブーと交換;婚姻規則の問題;『親族の基本構造』の構造主義)
3 神話の研究(神話の分析方法;神話の三つの方法―対立、変換、媒介;神話は何のためにあるのか)
4 野生の思考と構造主義(文化相対主義;トーテミズム;普遍的な“人間精神”;構造主義の影響)
著者等紹介
吉田禎吾[ヨシダテイゴ]
1923(大正13)年、東京に生まれる。東京大学文学部卒。九州大学助教授、東京大学教授、聖心女子大学教授、桜美林大学教授を歴任。東京大学名誉教授。社会学博士
板橋作美[イタバシサクミ]
1948(昭和23)年、東京に生まれる。東京大学卒。現在、東京医科歯科大学教授
浜本満[ハマモトミツル]
1952(昭和27)年、神戸に生まれる。東京大学大学院博士課程修了。福岡大学助教授を経て、一橋大学教授。専門は文化人類学。ケニアで数次にわたるフィールドワークを行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐藤一臣
5
既読したストロースの解釈本の中では最も読みやすくわかりやすかった。構造主義とは、要素間の関係をとらえる概念で、そこに存在するのは不変で絶対的なものであるが、要素自体は様々あり相対的で不変性はないものらしい。神話の役割は、対立の解消あるいは妥協の正当化であるという。また、地獄とは我々自身のこと(ストロース見解)であり、決して地獄とは他人のこと(サルトル見解)ではないというのも、野生の思考のきわめて特異な考え方だろう。西欧近代主義いわゆる実存主義がはびこる今の世のカウンターカルチャーになりうるのではないか?2024/01/14
猿田康二
1
レヴィ=ストロースは、構造主義を唱えた人類学者である。構造主義は、サルトルの主張した実存主義(人間を主体とした思想)と対極の思想(人間だけでなくあらゆるものが関係性の中でが存在している)である。それは西洋中心の主張に対して、未開世界も含めた東洋的思想も包含したグローバルな視点を持っていたといえよう。本書はストロースの著作「親族の基本構造」「神話の論理」「野生の思考」を読み解きながら、彼の構造主義を出来るだけ平易に説明するとともに、彼が日本文化への憧憬と尊敬の念を抱いていた事を披露する。2019/12/12
遊た(ゆうた)
0
よく哲学の解説本などでレヴィ=ストロースが構造主義の哲学者として紹介されているのを読んで、それについてより深く知りたくなってこの本を読んでみた。しかし、内容的には哲学の解説書というよりかは人類学の解説書といった感じが強かった。それでも、レヴィ=ストロースの学説はその随所に彼の構造主義が現れているようで、構造主義の理解にも役立った。特に構造主義の反主体主義的な要素に触れることができたと思う。2017/06/19
TTK
0
音楽と神話は時間を否定するために時間を必要とする。どちらも時間を抹殺するための手段なのである。……神話と音楽の類似性の強調は、ワーグナーの楽劇やラヴェルの『ボレロ』の分析を生み、ついには、われわれの社会では音楽がある意味で神話の役割を引き継いだ、とまで言うに至る。p.114 ▼ 彼は、音楽を聞いているとき、音楽を通して自分自身を聞いているのだ、と言っている。p.1322023/12/13