出版社内容情報
村上 益子[ムラカミ マスコ]
著・文・その他
内容説明
ボーヴォワールにあって、その天与の才能としてもっとも際立っているものは、幸福への才能である。彼女はのべている。「私は一生のうちで、自分ほど幸福に対する才能に恵まれた人間に会ったことはないし、また私ほど頑強にしゃにむに幸福に向かって突進していった人間を知らない。…もし人が栄光を私に差し出してくれたとしても、それが幸福に対する喪であったなら、私は栄光を拒否しただろう」と。女性という不利な条件のもとで、真面目と頑固に裏うちされた彼女の幸福へのがむしゃらな突進を、彼女の自伝は克明に語っている。その意味で、彼女の自伝は個性的な傑作である。彼女にとっては、書くことすら、この“生きる試み”の中の一つにすぎない。山を歩きまわり、自転車・車を乗りまわし、恋する、生気溢れる彼女の生涯と思想を捉えなおすことを試みた。
目次
1 ボーヴォワールの生涯(娘時代;教師時代;作家・思想家の時代)
2 ボーヴォワールの思想(思想の特徴;自由論;他人論)
3 ボーヴォワールの主要著作(『第二の性』;『老い』)
著者等紹介
村上益子[ムラカミマスコ]
1933(昭和8)年に生まれる。北海道大学文学部哲学科卒。哲学専攻。1995年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
9
図書館にて。サルトルとボーヴォワールの影響を受けた世代は、やっぱ1968年の大学生だよな。この伝記の著者も、戦後の新制北大の哲学科の最初の世代であるようだ▲実存主義、エリートだから様になるのであって、あるいは、戦中派だから滑らないのであって、…まぁ、むつかしいよね。サもボも教職持ちだから(大雑把な把握)、哲学の授業として読む方が素直に受け止められる。2023/02/21
ア
0
久しぶりに「ビビビ」ときた思想家かもしれない。筆者が指摘するように、活動主義的すぎる、投企を重視し過ぎているきらいは確かにある。が、個人の自由な結びつき、親子や男女の関係について、共感する部分が非常に多かった。彼女の小説も含め、読みたい。2019/01/20
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