出版社内容情報
石井 榮一［イシイ エイイチ］
著・文・その他
内容説明
ベーコンは、人類の福祉の発明家たらんとした哲学者であった。そのため彼は、広い分野の学問を手がけ、理論と実践の統一をめざし、学問の正しい方法の発明を企てたのである。彼にこうした遠大な夢を抱かせた背景として、当時のイギリスでは第一級の知的、宗教的、政治的雰囲気の中で育ったことが挙げられよう。厳格なカルヴィニストの母アン、国璽相の父ニコラスの薫陶のもとに、自然環境にめぐまれ、典型的な田園地帯にあったヨーク‐ハウスとゴランベリ‐ハウスとで幼時を過ごしたのである。学問上の大計画を達成するため、下院議員から大法官にまで登りつめ、国王の廷臣を自任した彼。しかし、晩年の彼は収賄によって失脚し、ゴランベリ‐ハウスに隠棲した。それでも彼は、最後まで研究と著述に専念しつづけた、科学の精神の鼓吹者であった。
目次
１ 革新の時代（イギリスの宗教改革；絶対王政と第一次産業革命）
２ ベーコンの生涯（エリザベス朝の花園；孤独の影；またたく栄光；巨星墜つ）
３ ベーコンの著作と思想（学問の改革をめざして；学問の擁護と分類―『学問の前進』；『大革新』と『新機関』；ベーコンの遺したもの）
著者等紹介
石井栄一［イシイエイイチ］
１９１６（大正５）年、岩手県に生まれる。東京文理科大学倫理学科卒業。信州大学教授、上越教育大学教授を歴任。信州大学名誉教授。文学博士。２００２年逝去（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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ア
4
イドラや帰納法、「知は力なり」などで有名なベーコン。こんなに実際の政治にコミットした人とは知らなかった。本書の指摘のなかでは、カントが合理論と経験論、両者の陥穽を指摘して批判哲学を立ち上げたのと似て、ベーコンの帰納法もアリストテレス的独断論とプラント的懐疑論への批判として現れてきたというのが面白かった。2021/08/27
