内容説明
コロンブスはアメリカの発見者ではない。到達先には何千万もの先住民がすでにいた。それに四度も大西洋を往復した彼はそこがアジアだと、死ぬまで信じていた。そこは島か、大陸か。その陸地の性質をめぐりさまざまな解釈が生まれたが、アメリゴ=ヴェスプッチの『新世界』と『四度の航海』が一石を投じる。一六世紀初頭に出版されるや、どちらもたちまちベストセラーとなり、彼にちなんで新大陸をアメリカと命名した者まで現れた。フィレンツェ生まれのアメリゴ=ヴェスプッチは初代のスペイン主席航海士となったが、その死後、発見者の名誉をコロンブスから奪おうとしたと非難される。一八世紀に彼の私的な書簡が発見されると、先の二著がアメリゴの作なのか論争が起こった。誰が、何の目的で『新世界』を書いたのか。そもそもアメリゴは本当に航海したのか。したのなら、どこまで探検し、そこをどのように解釈したのか。知名度のわりに知られていない、謎に満ちたアメリゴ=ヴェスプッチの実像に迫る。
目次
1 フィレンツェでの日々―メディチ家の陰で
2 セビーリャへ―ベラルディ、コロンとの出会い
3 自ら、海へ―第一回航海は行われたのか
4 一四九九~一五〇〇年―オヘーダ隊での航海
5 ポルトガル王旗のもとで―第三回航海、そして
6 再び、セビーリャへ―香料諸島をめざして
7 公刊書簡と「アメリカ」
著者等紹介
篠原愛人[シノハラアイト]
1953年、神戸に生まれる。大阪外国語大学(現、大阪大学外国語学部)大学院修了。現在、摂南大学外国語学部教授。専攻はラテンアメリカ植民地時代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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