内容説明
『アメリカの悲劇』の作者シオドア・ドライサーは一九世紀末から二〇世紀前半を生きたもっともアメリカ的な小説家だった。彼はドイツからの移民の子として貧困の中に育ち、自学自習で小説家としての成功を夢見て、苦労をしながら奮闘した人である。少年期から青年期まで、様々な職に就きながら、新聞記者、雑誌編集者を経て、念願の小説家となり、やがては当時の文学時流であった自然主義文学の代表的作品を世に問うまでとなった。晩年彼は必ずしも小説家として十全の時を送ることはできなかったが、ドライサーの生涯はまさに「アメリカの夢」を見、実現させようと努力した軌跡である。ここにアメリカに生きる男の典型があったと読者は感ずるはずである。
目次
1 シオドア=ドライサーの生涯―成功の夢を追い続けた男(貧しい移民の子;青春の苦闘;新聞記者への道;セントルイス時代 ほか)
2 シオドア=ドライサーの作品と思想(『シスター・キャリー』;『ジェニー・ゲアハート』;『資本家』;『アメリカの悲劇』 ほか)
著者等紹介
岩元巌[イワモトイワオ]
1930(昭和5)年大分県に生まれる。東京教育大学卒業。コロンビア大学大学院留学。中央大学、東京学芸大学、筑波大学などでアメリカ文学を講じ、現在麗沢大学教授、筑波大学名誉教授。この間、ウィスコンシン大学客員教授を4度つとめた
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感想・レビュー
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tieckP(ティークP)
4
アメリカを代表する自然主義作家、シオドア=ドライサーについてのガイドブック。清水書院のこのシリーズらしく、前半が伝記で、後半で作品紹介をしている。伝記部分は、著者自身が種本を紹介しているところから想像がつくように既存の本の要約性が強く、まるで辞書の記事を読んでいるようで味気ない。ただ要約としてはとても上手いと思うので知識を得るためだけなら良い選択といえる。後半の著作紹介は、評価の低い作品についてもそれをドライサーを知る手がかりとして重視するなど著者の見解が表れていて、こちらは丁寧に読むに値するできである。2018/03/25
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