内容説明
内面的真理・真実の領域において、外部からの力による強制の空虚さ、良心の尊厳を毅然として主張したのが本書の描くカステリョにほかならない。一六世紀にはしょせん「荒れ野に叫ぶ声」でしかなかったが、やがては人類に共通の精神的財貨となる「信教の自由」の先駆者たるカステリョの「人と思想」が、本邦で初めて本格的に紹介される。
目次
1 良心の攻めぎあい(出生と形成;ジュネーヴにて;バーゼル時代)
2 「三位一体」の秘儀(セルヴェトゥス事件;三位一体論の形成;セルヴェトゥス裁判)
3 長く遠い道(荒野に叫ぶ声;カステリョとブレンツ;寛容論の内実と根拠)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
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カステリオンは、カルヴァンに断固反対して、あの時代に寛容の徳を誰よりも早く説いた人物。カルヴァンについて書かれた本では必ず触れられる人物で、通常はカルヴァンの敵対者としての側面からのみ書かれている。カルヴァン贔屓の記述も多く見られる中、このような一般向けのシリーズでカステリオンについて読めるとは有り難い限りだ。どちらかの側に一方的に立つわけではなく、敵う限り内容も客観的で申し分ない。ただ、他の本にある巻末の参考文献などがないことはちょっと残念に思った。2012/02/03
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