内容説明
山口県下関に行商人の子として生まれ旅の空と木賃宿で成長した林芙美子は、宿命的に放浪者であった。希望にもえて上京した芙美子は激動する社会の中で転々と職をかえ、アナーキイな詩人たちとの交友や、愛の破局や、種々の苦悩を手記に書きつづり、『放浪記』として発表、一躍文壇におどり出た。さらに『清貧の書』『稲妻』とその地位をきずいた。昭和の暗い時代を庶民と共に歩みつづけ、戦後の混乱期にも人間の生きるべき道を探し求めて、『晩菊』『水仙』を発表、やがて総決算ともいうべき『浮雲』を描き、昭和二十六年六月、すべての力が尽きたように生涯を閉じた。大正、昭和の激動の時代に人間の生きるべき道を求めつづけた林芙美子の文学は、その苛烈な生涯と共に長く人々の心をうつものである。
目次
第1編 林芙美子の生涯(流浪の子;青春の日々;栄光にむかって;暗い時代のもとで;戦後の混乱の中から)
第2編 作品と解説(放浪記;清貧の書;泣虫小僧;稲妻;うず潮 ほか)
著者等紹介
福田清人[フクダキヨト]
1904(明治37)年長崎に生まれる。1927年東京帝国大学文学部国文科卒。立教大学教授をへて、実践女子大学教授、日本近代文学館常任理事を歴任。1995年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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