出版社内容情報
松尾 聡[マツオ サトシ]
著・文・その他
吉岡 曠[ヨシオカ ヒロシ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
59
吉岡曠による新古今集の評釈は、私に古典和歌の魅力を教え、歌の鑑賞へと導いてくれた。例えば後鳥羽院の、「見わたせば山もとかすむ水無瀬川夕べは秋となに思ひけむ」について、《「見わたせば」は一見無用な説明のようだが、眼前の風景を端から端まで眺め渡しているゆったりとした登場人物の動作と、その動作に伴って心を満たしてくる自足の感情とを歌の世界に導入する》とし、そうした姿や感情に裏打ちされているからこそ、この歌の風景は《帝王の歌にふさわしいおおらかな格調》を備えているのだという。ひとり静かに歌と向き合うのにも良い本。2017/12/28