内容説明
夢の向うに何かを想い出して…しなやかな手が描き出すはかない少女たちのリリシズム。おおた慶文待望の新画集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
18
三島由紀夫『潮騒』の初江、樋口一葉『たけくらべ』の美登利、川端康成『伊豆の踊子』の薫、堀辰雄『風立ちぬ』の節子、などの文学を題材にした一連の絵が新鮮で楽しかった。とりわけ、初江の描写は的確だと思います。「今はいかん。私、あんたの嫁さんになることに決めたもの」(うろ覚え)のセリフを思い出しました。『ダフニスとクロエ』も再読したくなってきます。2015/12/05
ネギっ子gen
4
【発掘本】著者は、娘が中学の頃に二人で追っかけしたイラストレーター。大好きないわさきちひろに通ずる、生き生きとした子どもの表情を透明感のあるタッチで描いた作風が気に入って、画集を買い、『詩とメルヘン』や『MOE』に著者が掲載されていないかチェックしたものです。本書の、「潮騒 初枝」「たけくらべ 美登里」「若草物語」などは、原作の世界を想起させながら味わったものです。文章も好きでした。例えば、こんな詩。<「ヒロイン」遠くかそけき風のむこうに/なつかしい少女たちがいる/幸福の淋しさの中に/永遠の夢の中に> 2020/02/07