感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
9
ヘレーンによるニューヨーク案内書。彼女が自分に課したのが、旅行者の視線に立って街を眺め直すこと。自分が好きな道から外れ、苦手な高層ビルに登り、だけど無名の墓石の碑文はじっくりと眺める彼女と友人。本文を挟みこむように冒頭と、結尾に自由の女神とエリス島のエピソードが挿入される。ニューヨークを愛する彼女たちの祖先が大陸を越え、ここを我が家とした歴史。多様なルーツの人々が生きるニューヨークにおいて、ヘレーンが愛してやまないこの自由の空気が誰によって、どのようにして得たのかしんみりと思いを馳せ、旅は終わりを告げる。2014/05/22